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【社会】

3号機 高線量どこから

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 東京電力福島第一原発の敷地内のがれき撤去が進み、全体的には放射線量は下がってきた。しかし、いまだ屋外でも妙に線量の高いスポットがある。3号機の周辺だ。 (榊原智康)

 「3号機が見えると線量が高くなる。これが現場の感覚」。原発内で作業にあたる東電社員。昨年秋、東電が大型クレーンで原子炉建屋の上三メートルの線量を測った際には毎時五〇〇ミリシーベルトと高かった。

 五月下旬、本紙記者が隣の4号機原子炉建屋に入った際も、五階に上がって3号機が見えた瞬間、放射線量がぐんと上がった。

 3号機で起きた水素爆発は、1、4号機の爆発より規模が大きかった。飛散したがれきの中には表面線量が一〇〇〇ミリシーベルトもあるものもあった。高い線量の発信源は、原子炉建屋上部かもしれない。

 海側を走る道路でも3号機タービン建屋前に差しかかると、線量は一・五ミリシーベルトと一気に十倍程度にまではね上がる。3号機が危ない存在であることだけは確かだ。

 ただ、一つおかしな点がある。この位置からは原子炉建屋が見えないことだ。

 放射線はまっすぐ進むはずだから、見えない場所から放射線を浴びるとは考えにくい。

 立命館大の安斎育郎・名誉教授(放射線防護学)は「放射線が空気中の窒素や酸素などの分子にぶつかって進む向きが変わり、タービン建屋の陰にもある程度回り込んでいる」とみる。

 道路脇には「逆洗弁ピット」と呼ばれるくぼ地があり、ここには津波で流されたトラックやがれきがほぼそのまま残っている。社会技術システム安全研究所の田辺文也所長(元日本原子力研究所研究主幹)は「これらのがれきが高線量の原因の可能性がある」と指摘する。

 高い放射線を生み出す源がどこなのか、3号機周辺を細かく調べれば突き止められるはずだが、今のところ調査予定はなし。

 東電の小林照明・原子力設備管理部課長は「測定で作業員がたくさん被ばくしては意味がない。本格的な作業をする必要が出てきた際に、しっかり測定したい」。原因解明にはまだ時間がかかりそうだ。

 

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