つなぐ 希望の木
災難を乗り越えてきた木々を、都内に訪ねた。
【社会】ぎんさん4人娘 どえりゃあ元気 名古屋
国民的人気を博した双子姉妹「きんさん、ぎんさん」の蟹江ぎんさん=享年百八=の娘四人が、母譲りの長寿で名古屋市南区で元気に暮らしている。平均年齢は九十三歳で、数百メートル以内に住むご近所同士。時間があれば互いの家で何げない会話に盛り上がり、ぎんさんの教え「きょうだい仲良く」を日々実践している。 「こんな長生きするとは思っとらんかったなあ」 「おばあさん(ぎんさん)に似て、みーんな頑固だで、元気なんだわ」 「ほうよ。あんたも最近、頑固になった。老人の反抗期が始まったわ」 姉妹の生家でもある五女蟹江美根代さん(88)宅。長女矢野年子さん(98)、三女津田千多代さん(93)、四女佐野百合子さん(91)と美根代さんが、かつてぎんさんの座っていた縁側で茶飲み話に興じる。 三歳で病死した次女栄さんも入れ、みんな女。美根代さんが婿取りして家を継ぎ、息子夫婦と孫の四人で暮らす。近くに年子さんと千多代さんが二人で住み、一人暮らしの百合子さんもご近所。毎週持ち回りのように互いの家を行き来し、美根代さんの運転で旅行もする。 昨秋に週刊誌で四姉妹が取り上げられて以来、取材に引っ張りだこ。「歌一つも歌えんのに、何で注目されるんか」「おばあさんの時からカメラや取材に慣れとるで、緊張せんけどな」。テレビ局の東京ロケで「おかげでスカイツリーも見れたわ」と喜ぶ。 茶飲み話では、老老介護の果ての無理心中や孤独死も話題に出る。「あれはかわいそうだわ」「家族は近くにおらにゃいかん。私らは恵まれとる」 十年ほど前、年子さんが体調を崩した時は施設に入る話も出た。「施設は知らん人ばっか。孤独になる」と美根代さんが反対。一人暮らしだった千多代さんに「みんなで手伝うで」と年子さんを託した。二人の生活で、年子さんは一人で料理ができるまでになった。「けんかは毎日するよ」と言う千多代さんに、年子さんは「活気づくでええんだわ」と笑顔で返す。 四人が集まると、やっぱりぎんさんの話に花が咲く。「人間、足から弱くなる。足が丈夫でないといかん」「おれは誰の世話にもならん」が口癖だった母。「実際、亡くなる数日前まで一人でトイレに行っとった」と美根代さんは振り返る。最期の三日間を順番に世話した四人。自分にも子どもにも厳しかった母の教えを受け継いでいると感じる。 「いろんな話が聞けるし、しゃべれるし、楽しいねぇ。四姉妹でうらやましいでしょう?」と百合子さん。天国できんさんと一緒のぎんさんも「わしらより、にぎやきゃーてええわ」と眺めているかもしれない。 PR情報
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