海外遠征売春は、1990年代から日本などを中心に続いてきた。1995年に阪神・淡路大震災が起きた際、売春に従事していた韓国人女性が大挙して韓国に帰国したことがあった。当時、風俗店で働く女性の間では「帰国せず日本に残った女性たちは大もうけした。韓国の女の子が足りなくて大変だった」といった話で持ちきりだったという。
ナム・チーム長は「2000年代初めには旅券偽造を処罰する程度で、売春については徹底した捜査が行われていなかった。こうした手ぬるい慣行が海外遠征売春の規模を拡大させた可能性がある」と指摘した。
■貸金業者の争い
昨年初め、釜山で30代半ばの風俗店勤務の女性が借金を苦に自殺する事件が起こった。警察の調べで、女性は日本に売春目的で11回渡航していたことが分かった。警察関係者は「海外遠征売春には貸金業者が関与しているケースが多い」と指摘した。
貸金業者が女性を海外に送り出す手法は、人材バンクを連想させる。昨年4月に釜山市水営区広安里のコーヒーショップに貸金業者4人が集まった。4人は30代半ばの女性Aさんを日本に売春目的で渡航させる問題をめぐり口論を始めた。Aさんは4人にいずれも借金があった。
貸金業者たちは「うちが貸したカネが多いから、うちがAさんを日本に送る」などと互いに主張した。その後、Aさんは貸金業者のうち1人の紹介で日本に渡り、売春をした後にいったん帰国。だが、現在は再び日本に滞在しているという。
捜査関係者は「風俗店の女性は、初めに部屋を借りるために200万-500万ウォン(約14万-34万円)の借金をするが、2-3年後には返済額が2000万-3000万ウォン(約135万-203万円)にふくらむ。借金返済のため、仕方なく売春目的で海外に出る女性も相当いるはずだ」と話した。