東北のニュース

台湾の男性、自転車で日本縦断 がれきの山に心痛める

仙台市に到着した頼さん。自転車には日本と台湾の旗を取り付けてある=11日

 自転車で日本縦断に挑む台湾の男性が東北入りし、快走を続けている。旅行中に出会った人々から受けた親切を励みに、1日約100キロ、ペダルを踏み込む。東日本大震災の津波で被災した沿岸部も回り、「現状を台湾の人々に伝えたい」と話している。
 この男性は、台湾南部・屏東県在住の頼長信さん(60)。55歳で高校事務長を退職した後、趣味の自転車に打ち込み、1周約1000キロの台湾を10周したほか、中国や豪州、欧米各地を旅した。
 初の日本行きは昨年3月に計画していたが、震災で取りやめ、1年後に実現させた。4月23日に福岡空港に到着し、自転車で九州から関西、関東を経て、福島、宮城、岩手の被災3県を巡る。北海道を1周した後、7月18日に新千歳空港から台湾に戻る予定だ。
 旅行中は日本人の親切さに感激しているという。コンビニエンスストアで弁当を食べていて飲み物の差し入れをもらったり、信号待ちで停止中の車の窓から千円札を差し出されたりした。
 頼さんは「日本語があまり話せないのに、応援してもらって感動した。自転車にも安全で、夢の国にいるよう」と話す。
 震災直後、テレビで津波が街を襲う様子を見たという頼さん。13日には気仙沼市に入り、全壊したビルやがれきの山を目の当たりにし、衝撃を受けた。「防ぎようのない天災が悲しくてどうしようもない」と語った。
 台湾では震災後、日本に巨額の義援金を送るなど、被災地支援に関心が高い。頼さんは「台湾の人々は日本人を兄弟姉妹のように慕っている。帰ったら、自分の目で見た被災地の現状をしっかり伝える」と決意を新たにした。


2012年06月16日土曜日


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