県立小児医療センター:移転問題 課題の周産期医療 ハイリスク妊婦に対応 /埼玉
毎日新聞 2012年06月14日 地方版
県立小児医療センター(さいたま市岩槻区)がさいたま新都心(同市中央区)へ移転する第1の要因は、老朽化の進んだ同センターの耐震性の問題だったが、県は移転をテコに課題となっている妊娠後期から新生児早期までの周産期医療の充実を図る。
背景には、脳出血など妊婦に命の危険があったり、早産で通常の病院では出産できない「ハイリスク妊婦」の受け入れ先不足がある。
県内には、高度な周産期専門医療機関は埼玉医科大総合医療センター(川越市)の1カ所のみ。このほか9医療機関がハイリスク妊婦を受け入れているが、県医師会によると、10年にはハイリスク妊婦1046人のうち164人(16%)が、東京都など県外に搬送された。
また、未熟児などを受け入れる新生児集中治療室(NICU)のベッド数不足も深刻だ。厚生労働省の新生児1万人につき25床という基準に沿うと、県内には150床が必要だが現状では101床と3分の2にとどまっている。
このため県は、新都心に移転後の新センターに危険性の高い母体と胎児を同時に診察できる「総合周産期母子医療センター」を新設し、NICUなど周産期病床を36床増やす方針だ。