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【世界の街から】

麗水 ごり押し時には必要

 二〇〇五年の愛・地球博(愛知万博)と一〇年の上海万博に毎日通った愛知県瀬戸市の主婦山田外美代(とみよ)さん(63)に、韓国南部の麗水(ヨス)市で開催中の万博で会った。

 五月の開幕以降、やはり「皆勤」を続ける彼女が嘆いた。「パビリオンの入場待ちで子どもは列に並んでいるのに、おばちゃんたちが横入りしていくのよ…。愛知、上海はこうじゃなかった」

 確かに、韓国は一面で、正直者がばかを見る理不尽な社会だ。私も麗水で実感した。

 夜九時まで入れると聞いたパビリオン。八時半に着くと「もう掃除を始めた」と入場を断られた。「事前に確認したのに」と食い下がると、職員は「じゃあ、私の後ろについて入ってください」と笑顔に変わった。

 昼に入った会場内のレストラン。麗水は日本でも夏が旬の「ハモ」で有名だ。メニューの湯引きを頼むと「売り切れです」。前日もそう言われた。「隣席の人は食べているし、二日続けて売り切れなんて」と粘ると、「用意します」ときた。

 よく言えば融通がきく社会。悪く言えば、ごね得、ごり押し文化。赴任した一年前、韓国滞在の長い日本人の知人がずぶとく見えた。最近は私も「こちらの本気度が試されている」と好意的に解釈し、時にはずうずうしくトライするようにしている。 (辻渕智之)

 

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