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社会

おおい町長再稼働同意 福井出身、西脇在住の女性訴え 

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織機の前で「電力供給の負担を、みんなで分け合う方法が見つかれば」と話す玉木さん=西脇市西脇(撮影・飯室逸平)

織機の前で「電力供給の負担を、みんなで分け合う方法が見つかれば」と話す玉木さん=西脇市西脇(撮影・飯室逸平)

 福井県おおい町長の同意を経た関西電力大飯原発3、4号機。手続きが最終局面を迎えてもなお賛否が分かれる再稼働は、供給地と消費地の間に微妙な温度差を生む。供給地で生まれ消費地で暮らす兵庫県内の福井県出身者は、安全性への疑問が消えない再稼働か、電力不足かという選択に苦しんでいる。

 大飯、美浜、高浜と関西電力の原発は全て福井県に集中し、近畿で消費する電力のほぼ半分を供給してきた。播州織デザイナー玉木新雌さん(34)=西脇市=は福井県北東部、勝山市の出身。発電所が並ぶ沿岸部とは離れているが、遠い存在ではない。「もし原発が爆発したら、風向きによっては1時間で放射能が届く」。小学生のころ、社会科の授業で聞いた担任の言葉が長く脳裏に焼き付いていたが、東京電力福島第1原発の事故は「もし」では片付けられないことを突き付けた。

 玉木さんは2009年から西脇市に住み、播州織を取り入れた商品の製造販売を手掛ける。工場では織機5台が交互に稼働し、ストールやシャツなどの商品を生み出す。電気がなければ仕事にならないが、地元に残る両親や親戚、その子、孫を思えば、簡単に再稼働を受け入れることができない。

 電力の供給地で生まれ、消費地で暮らす玉木さんにはこだわりがある。店では節電を徹底。川のせせらぎや小鳥の鳴き声など、涼やかな音を流し、窓を開けて風の通り道をつくる。ストールを巻くことで直射日光を避ける「夏巻き」も推奨する。

 国内の織物業は中国や韓国との激しい価格競争にあえいでいるが、玉木さんは業者と契約を結ぶ際、必ず工場の見学を求め、作り手の思いと適正な価値の理解を訴えてきた。「生産者と消費者はフィフティーフィフティー(五分五分)の関係」を信条とし、電力についても、傲慢な消費者になってはいけないと自らを戒める。

 玉木さんは「関西と福井が一緒に答えを見つける過程が、供給地と消費地が理解し合う機会になれば」と考えている。(中務庸子)

(2012/06/14 22:55)

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