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移植された心臓 “極めて良好な状態”
6月15日 19時16分

乳幼児では初めて、脳死と判定された男の子の心臓を10歳未満の女の子に移植する手術が15日、大阪大学附属病院で行われました。大学側は記者会見を開き、「移植した心臓は動きだし、極めて良好な状態だ」と述べました。

富山市の富山大学附属病院で14日、脳死と判定された6歳未満の男の子からの臓器の摘出は、正午すぎに始まり、3時間半余りで提供を予定した心臓と肝臓、それに腎臓のすべての摘出手術を終えました。
このうち心臓は、飛行機などを使って大阪・吹田市にある大阪大学附属病院に運び込まれました。
阪大病院では、「拡張型心筋症」のため心臓移植でしか助からないと診断された10歳未満の女の子に、提供された心臓を移植する手術が行われました。
大学は午後6時から記者会見を開き、澤芳樹副病院長は「移植した心臓は動きだし、極めて良好な状態だ。女の子の家族からはありがとうございましたという話があった。大変、安心された様子だった」と話しました。
そのうえで、「小さいお子さんの手術は日本ではなかなか始まらない状況だったが、法律が改正され、今回は極めてスムーズに手術が行われたことに非常に安どするとともに、これからの大きな期待も感じている」と述べました。
男の子から提供された臓器は、このほか肝臓が東京・世田谷区の国立成育医療研究センターで10歳未満の肝不全の女の子に、両方の腎臓が富山市の富山県立中央病院で60代の慢性糸球体腎炎の女性にそれぞれ移植する手術が行われています。
おととし施行された改正臓器移植法に基づいて、15歳未満の子どもが脳死の段階で臓器を提供するのは2例目、脳死判定の基準がより厳しい6歳未満の乳幼児では初めてで、移植を待つ子どもの患者に新たな道を示しました。
一方で、子どもの脳は大人に比べ回復力が強く、脳死を正確に判定できるのかもっと研究すべきだとする慎重な意見もあり、今回の脳死判定と移植手術について十分な情報公開と検証が求められています。
すべての臓器の移植手術が終わるのは、16日の朝になる見通しです。

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