”田村 智之”の生存の確認と、その10日後に身柄を拘束され、セントレアに着き名古屋拘置所に収監されていた。

さすが”ミスターX”こと田村万次郎の力でも、ここまでオオヤケにされて注目されている状況では、今の所は手をこ拱いていた。

その頃、保安課長”山下慶司”が、”ミスターX”と緊急時の場合だけ連絡をとるナンバーに電話をかけていた。
ミスターXとは直に話した事はなく、いつも代理で合う3人の紳士のリーダー的男との会話だった。
「どんな用件かな?山下君。この番号にかけてくるには、重要な用件だろうね?」
「例のインチキ死刑の件が、事務局の金島官房審議官にバレてしまって、今は私と所長まで自宅待機になっています。
関与が世間に知れるのは時間の問題で、逮捕されると思います・・どうにかしてください・・・」
「知っているのは金島君だけかね?」
「多分、今の所は・・・それと・・出来れば海外に逃げたいのですが・・」

「少しの間、連絡を待っていなさい。金島君に確認しますから。」
そういいい残すと連絡係りは電話を切った。
「課長!審議官がお呼びですよ」
自宅待機していた山下は金島に呼び出されていた。
「Xからの指示で、君には最後の”お願い”になると思うが、明日、検事が事情を聞きたいそうだから、田村を検察庁まで護送してもらいたいのだが、どうかね?」
「指示とあらばいいですが・・」
「同行するのは検察事務官と所長、それに刑務官2名も同行するが、担当直入に言うからここからはよく聞いておいてくれ。質問は後で聞くから!」
「は〜?・・
「護送途中に君と所長が結託し、途中のガソリンスタンドで給油中、事務官と刑務官2名を置き去りにし”彼”の逃走するのを手助けする事。逃走報告は五分後に通報!。
メモるのはいいが、名前は伏せて!」
「エェ〜!・・それにガソリンは満タンでが規則ですが・・」
「黙って最後までよく聞け!」
「ハ〜ァ・・」

「ガソリンを満タンにしていなかったのは君のミスで、そのままセントレアに直行し、所長と一緒にチャーター機に三人で乗ってもらう!」
「ハ〜ァ」
「その機の行き先は私も知らないが、事務官と刑務官2名も事情を知っての事だから失敗はない・・以上だが質問は?」
「それって!全ての関係者がXの”お願い”ですか・・」
「そう取ってもらってもいいが、私は関与もしてないし、指示した覚えもない。
ここでの話は山下
君!君と所長が考え、手配した筋書きだからね・・・それに手配全てが君達の計画した痕跡の記録が残っているから。」
翌日昼のテレビのワイドショウや特報ニュース、それと新聞の一面にデカデカと載っている記事
「生きていた死刑囚”田村 智之”が護送途中で逃亡!関係者二名も行方不明で関与の疑いが濃厚!」