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【コラム】

中日春秋

 人型ロボットの外見が、人間に似れば似るほど、人間は好感を持つが、あるところで逆に嫌悪感を抱くようになる。が、さらにそっくりになっていくとまた好感度が上がる…

▼これは<不気味の谷>と呼ばれるロボット工学の世界の仮説の一つらしいが、中途半端に似ていると不気味に感じるというのは何となく分かる気がする。つい、連想してしまうのがこのごろの民主党

▼その民主党が自民、公明両党と新たな原子力規制組織の設置関連法に関する修正協議で合意した。原発の“寿命”は原則四十年とするルールは維持されたが、よく聞けば、その妥当性を、今後発足する原子力規制委員会が速やかに判断し、見直すとの規定も入ったのだという

▼これでは規制委の判断次第で寿命が延長されかねない。原発維持の考えが根強い自民党の反発を受けて譲歩した結果らしいが、「原則四十年」こそは民主党の掲げる「脱原発依存」の柱だろう

▼もしも、それさえ守れぬなら、もはや「脱原発依存」の看板は倒れる。消費増税のことなど、ただでさえ、民主党はどんどん自民党に似てきて“不気味の谷”に入った感があるのに、数少ない違いがまた一つ消えることになる

▼この“谷”を脱する道は二つあるが、違いを取り戻す方向にいくほかあるまい。もしこれ以上自民党そっくりになるなら、もう民主党はいらないのだから。

 

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