地域ネットワーク課と日本語教室の懇話会に出席して UP!




 
















  



浦安市の外国人対応はかなりの情報を多言語で準備していることが分かりました。
その情報を外国人に伝える手伝いは我々にもできます。「市民生活ガイドブック」
(4ヶ国語)は貴重な
情報の宝庫で、これをもっていない学習者には国際センターでもらってあげて下さい。
「浦安市国際化の現況」
(2010年度版、国際センターUIFAロッカー書庫にあり)の7頁「外国語資料・刊行物
一覧」もハザードマップ、ごみのわけ方、簡易保育所一覧、乳幼児検診のお知らせ等のタイトルがあり、
どこに行けば当該情報が得られるかが分かります。氏次さんの説明の中で浦安市の自治会加入率は
53
(201012月末)と言う指摘がありましたが、日本人より地域で生活する外国人の方が自治会に加入する
メリットがあるかも知れません。

                                   藤原豊太郎

  報告:

地域ネットワーク課と日本語教室懇話会

  2011年6月14日 14:00~16:00 国際センター

  出席:(地域ネットワーク課) 大塚広美 氏次裕司
     (UIFA)田中智恵子、米倉豊、須田光一、真殿直子、田丸真子、米田喬、
         山口裕紀子、椎名光子、前田由美子、永末美知子、松枝文恵、川岡文恵、
         齋藤明子、友部順子藤原豊太郎


1.市の説明

「本市の国際化への対応(事業紹介)」のタイトルで氏次氏より以下の説明があった。

・ H22.6月末外国人登録は3,609人、2.19%。中国1,410(39%)、韓国668(19%)
  フィリッピン
370(10%) ――――。
  外国人相談窓口(4階地域ネットワーク課内)には3名の相談員が交代で勤務し、7ヶ国語に
  対応できる。平成22年度の相談件数は633件
(UIFA,UFRA活動104,通訳・翻訳87件、医療・
  保険
76件、語学学習75件、etc.)
  外国人向け資料の多言語化には浦安市は力を入れており、かなり進んでいる。例えば、

     市H/P (英、中、韓)

 広報誌 City News うらやす (英語)

     市民生活ガイドブック(日、英、中、韓)

     ごみのわけ方、出し方 (日、英、中、韓)

     保育園入園案内 (英、中、日)

     母子健康手帳(英、中、韓、日、タガログ、スペイン、ポルトガル、ネシア、タイ

  地域ネットワーク課の国際化推進事業

     国際センター 

     UIFA ,UFRA

                 Our World TodayUFRAによる英語講演会
 
        親子英語教室:Let’s Enjoy English 日本人親子対象。評判よく多数が参加。
     今年は日の出公民館、文化会館で4回実施

     国際交流・協力フェスティバル: ダイエー1階で毎年1月。

     浦安市国際交流ボランティア:ボランティア通訳の登録

     姉妹都市交流: 友好の翼(震災による予算削減で今年は中止)

2.質疑応答、意見

・ 震災時の市の外国人への対応は?
   3月11日震災直後市庁舎1階に外国人用臨時震災窓口を設置。数日後第3庁舎に移動。
  毎日数件の相談があった。

   明海大留学生の安否確認を行った。

  市民生活ガイドブック(4カ国語版)はよくできているが、外国人登録の際配布されていないのは
  もったいないのでは?

   窓口に置いてはあるはずだが、登録時に手渡してはいないかも知れない。(本件大塚係長が外国人
  登録窓口である市民課と相談し、登録時にガイドブックと防災袋を手渡すように改善された。
)

・ 浦安市のHPは日本語以外、中国語、英語、韓国語が使われているので市民ガイドブック
   
(外国人向け)に市HPURL(インターネットアドレス)も掲載すべきでは。

  中央公民館は日本語教室の学習者募集を広報うらやすでやっているが、UIFAの日本語教室の募集も
  広報うらやすでできないか?

   不定期に、随時募集しているものは難しい。City Newsうらやすでの一般記事としての掲載の
  可能性はあるかもしれない。


  ごみの出し方、消火器の無償貸与も大事な情報なので、極力外国人に伝わるようにしてもらいたい。
 

3.市からの要望

  学習者が直接教室に見学に行き、教室で内諾を得たからと登録に来ることがある。市役所では事情
  が分からず、空席がない場合は断る時もあるので、特殊な事情がある場合は必ず市役所に連絡して
  欲しい。また、申し込みの際は写真を持参するように伝えて欲しい。写真がないとデジカメで顔
  写真をとり、それをプリントして切り抜いて申込書に貼っているが、かなりの手間がかかる。
以上

          
                       
                            懇話会を終わって
          地域ネットワーク課大塚さん、氏次さんと日本語グループリーダー、研修スタッフ

                                                                  

地域の外国人と共に暮らすために~地域参加のための日本語学修支援~ 



船橋市国際交流協会の文化庁受託講座「地域の外国人と共に暮らすために~地域参加のための日本語学修支援~」に参加しました。3回に亘る第1部の私なりの纏めです。外国人、多文化共生、ボランティア活動、日本語教室等について考えるヒントになればと思います。なおこの講座には
UIFA日本語教室から須田、田中、富舘、真殿、米倉の各氏も参加しています。 

聴講記:                              藤原豊太郎

1 多文化共生とは? 講師:山西優二(早稲田大学教授)20101129

  文化の多様性に関するユネスコ世界宣言(2001112日パリ)の第1条で生物の多様性が自然に
不可欠のように、文化の多様性は、その交流、革新、創造性の源として人類にとって不可欠とし、
文化の多様性は人類共通の遺産と定義している。また第
5条では文化的権利は人権の中枢で、全ての
人々は自らの選んだ言語、特に母国語で自らの意見を述べる権利、教育・訓練を受ける権利を有する
としている。(文化の多様性と言語の多様性の保証)

  2008年国際言語年におけるユネスコ事務局長(松浦晃一郎)談話:世界で話されている7千言語の
うちおよそ50%が絶滅に瀕している。母語プラス一つか二つの国際的な言語に習熟する複数言語主義
が望まれる。全ての言語に対する尊敬、絶滅に瀕している言語への保護を要請する。

  個々の文化が対立と協力を経て共通の文化になるのを「文化」から文化へと表現。文化は時間的、
環境的連続性を持ち、常に変容する。そのプロセスの中で個々人は文化を変容させるアクターでもある。
2005年度山西ゼミ学生報告)

  個々の持つ共通の帰属意識(アイデンティティ)が文化を構成する。そしてその異なるアイデンティ
ティの文化集団が平面的にネットワークを構成し共存するのを一般的には多文化共生という。しかし
個人の中にも様々な種類のアイデンティティの層があり、その層の切り口の違いにより共生のネット
ワークが異なってくる。例えば宗教と言う切り口では共生の可能性がなくても、音楽ではお互いに刺激
しあって共生できる事はある。個人同士が、異なるアイデンティティのその切り口により、異なる形
のネットワーク(共生)が生まれる。(
2006年度山西ゼミ学生報告)

  文化は個人の中でも変容することを分からせる「レヌカの学び」というゲームを行う。ネパールの
聾唖学校の若き校長のレヌカ(女性)が仙台で
1年間研修を受け、彼女の考え方(文化)の変化を9対の
文章にしたものを、ネパール時代のものと仙台時代のもの夫々
9個に分けるのだが、正解するものは殆ど
居ない。文化の違いが互いの理解の妨げになっているのが実感できる。


 

2回 生活者としての外国人と多文化共生 杉澤敬子(東京外国語大学多文化教育センタープログラム
     コーディネーター)
2010126

  外国人とは:外見、言葉、両親など外国人と判断する基準は様々だが、芸能人やスポーツ選手に
限らず、日本人と思っていた人が外国人だった言う例は多々ある。出入国管理及び難民認定法
(出管法)第
2条で外国人とは日本国籍を有しない者と定義している。また国籍法第4条で日本国民
でない者(以下「外国人」という)は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる、とあり
続く第
5条で帰化の条件として6つをあげている。(日本の帰化の条件は厳しい)

  外国人の日本滞在;査証(ビザ)

              1.短期滞在(90日以内)で商談、観光、知人訪問などで報酬を得ない者

         1)査証免除: 15~90日の範囲で61カ国が査証免除国(米国、ヨーロッパ、豪州、
        台湾、韓国等)

         (2)短期滞在査証: 中国、ロシア、NIS諸国、フィリッピン他
 
       2.就労や長期滞在が目的
         
         (1)就業査証: 教授、芸術、宗教、報道、投資・経営、法律・会計業務、医療、
         研究、教育、技術、
人文知識・国際業務 、企業内転勤、技能、興行の14分野
         で在留期間は3年又は1年だが、興行のみ
15日1年
         (2)一般査証:文化活動 1年又は6月,留学(大学)2年又は1年、
             就学(高校、日本語学校)及び研修 1年又は6月、日本語教室の明海大留学生が
        これに当たる。

  在留資格:出管法第2条の2で外国人は在留資格を持って在留するものとあり、別表1及び2において
  27
の在留資格を列挙し夫々「本邦において行うことができる活動」を明記している。この在留資格
  は上記の滞在目的の項目と多くが重なっている。

  外国人登録:日本に在留する外国人は上陸の日から90日以内に居住する市区町村長に外国人登録を  しなければならない。(外国人登録法第3条)

  外国人登録者数:全国で2,186千人、1.71%(09年末) (浦安は3,800人 2.3%)。新規登録の増加
  傾向。増加の大半は仕事、家族の呼び寄せ、結婚の3つの理由。

  地方自治法第10条は市町村に住所を有するものは住民(外国人も)となり、住民はその地方公共
  団体の役務(サービス)をひとしく受ける権利を有し
その負担を分担する義務を負う、と
  している。(外国人登録者の権利と義務)

  国際結婚:2009年34,000 4.9% (20組に1組)

  外国人が困っていること:言葉と生活費(物価)が1,2位を占める。友人が少ない、住居、仕事、
  等が続き、5位には差別、偏見を挙げている。(新宿、港、足立、練馬区調べ)

  多文化共生を阻む3つの問題:制度の不備(行政)、言葉、文化、習慣の違い、周りの排他意識。

  自治省の都道府県宛て「地域国際交流推進大綱の策定に関する指針について」(平成元年214日)では地域国際交流の意義、目的として①地域アイデンティティーの確立;相手とのふれあいで己の長所を再認識し、相手より学ぶことにより地域の文化、社会がより豊かになる。②地域の活性化:異文化との出会いにより自己の特性に目覚め、同時に新しい発想が生まれる。③地域住民の意識改革:交流により世界の人々に貢献すると言う意識改革が進み、それが日本社会のの閉鎖性の解消、海外との摩擦、誤解の減少に繋がる。④相互理解の深化:草の根レベルの相互理解が、国と国との関係を厚みのあるものとし、世界平和に貢献する。の4点を挙げている。また地域国際化協会を地域の国際交流の中核的民間組織と位置づけ、民間組織の育成、支援をうたっている。

  国際交流協会は外国人支援において、行政と民間を繋ぐコーディネーターの役割を求められているが、日本語教室はその継続性、個人性(生身の人)から外国人に居場所を提供し、行政、外国人、民間の協働事業において人と人とのネットワークを構築する重要な役割を担っている。

  市民ボランティア4つの原則:①自発性 ②公共性 ③無償生 ④先駆性 (先駆性とは行政のできないこと、行政の経験のないことを先駆ける意。)

  擬似異文化体験ゲーム:「バーンガ」と言うゲームを行う。ページワンに似たゲームで無言で行い、トップとビリは他のグループに移動する。移動した者は移動先のグループでルール違反を指摘され戸惑い、「居場所」を失い異文化を体験する。手品の種明かしはグループにより事前に熟読を求められたルールブックの内容が違うこと。

  地域日本語教室の可能性

      ・制度、文化、言語での「障害」に対しては支援が必要。

      ・支援活動に同じ市民としての“対等性”、“相互理解”の視点があって初めて共生が
       成り立つ。  

・共生を目指すなら「居場所」と「社会参加」の視点が大切。
(共生とは学習者もボランティアも自己肯定感(self-esteem)を持つことではないか。Self-esteemとは a feeling of being happy with your own character and abilitiesと辞書にある。)

3 地域日本語教育と多文化共生 講師:野山広(国立国語研究所 上級研究員)

  20062月、滋賀県長浜市での園児2名殺害事件関連のビデオを見る。中国出身の母親が自分の娘が
  園内でいじめられてると思い、犯行に及んだとされる。種々のエピソードが出てくる。

      公園デビューの失敗:地域コミュニティーからの阻害。居場所の喪失。
     相談の失敗:「母親は皆大変ですよ」と窓口で言われ、この相談員は自分の事を分かって
          くれない、相談してもだめだと思う。他の人も大変なのだと自分で気づくときは、
          それで勇気付けられが、同じ事を他人から指摘されると腹がたつ。相談員、コーディ
          ネーターの対応の難しさ。

ユニホームをもらえなかった:ママさんバレーで一生懸命練習したのだが、試合の直前になり、補欠のためユニホームがもらえなかった。夫は日本では当たり前といい、相手にしてくれなかった。文化の違いによる悔しさ、疎外感。

専業主婦は家政婦か:中国では共働きが当たり前で、両親で分担して子育てをする。異文化により専業主婦の理解が困難。

  エポケー(判断留保):異文化に出会ったとき、自分の価値観では判断せず、相槌を打って判断を
  停止する。諭すことなく、自分で解決する方向に持ってゆく。コーディネーターとしての大切な
  技術。

  地域日本語教室の機能

    1.日本語教育、学習

    2.交流

    3.相談

  外国人受け入れ問題に関する提言(日本経団連2004年4月):「多様性のダイナミズム」と「共感と信頼」の具現化により活力と魅力溢れる日本を目指すとしている。具体的提案として内外における日本語教育の充実にも敷衍している。

  外国人集住都市会議:浜松、磐田、湖西、大垣、加児、美濃加茂、四日市、鈴鹿、豊橋、豊田、太田、大泉、飯田の13市で2001年に設立。現在26市が加盟。北脇保之(当時浜松市長、現東京外国語大学教授)が中心的役割。地域共生についての浜松宣言(2001/10/19)は「互いの文化、価値観を尊重し全ての住民参加と協働により真の共生社会を形成する」とうたっている。

  外国人児童の教育:月刊日本語 2010年8月号。中川正春文部科学副大臣は外国人小中学生への日本語教育充実策として①現場の先生の日本語指導研修 ②日本語のできる外国人の母国語による教室支援 ③外国人のための「日本語」教科の設定、を挙げている。


  総務省の多文化共生推進プログラム(2006年3月)

コミュニケーション支援
 地域における情報の多言語化。日本語及び日本社会を学習するための支援。
生活支援:居住、教育、労働環境、医療・保険・福祉、防災。
多文化共生の地域づくり:地域社会に対する意識啓発、外国人住民の自立と社会参画


以上














































































































































































































































         初心者スキルアップ講座受講記           
                                         
                                           藤原豊太郎


20101114日 17:3020:30 国際センター

講師 片桐尚史 明海大学教授


受講者の事前の質問、要望に対して、それぞれ要点、ヒントを纏めた講義。休憩なしの3時間があっという
間に過ぎた、これぞプロと言う熱の入った講義だった。講義の中で印象に残り、すぐに役立つと思ったもの
を列挙する。



  学習者とどうもしっくり行かない時

①自分の教え方に自信を持つ〈ビリーフ〉
     ②学習者の興味、関心、学習態度〈適性〉を観察し、それに対し教え方を考える〈処遇〉、その
    相互作用で教育効果が上がる。すなわち適性処遇相互作用 

     ③動機付け:内発的動機付け〈自らがやる気をだす〉が良しとされるが外発的動機付け〈外部からの
    強制〉が内発的同期付けを誘発する場合もある。日本語を単なる道具として学んでいるのか、
    統合的に日本語を学ぼうとしているのかの見極めも必要。

・ピグマリオン効果

教師が期待をかけるとその生徒は他の生徒より成績が伸びると言う、ローゼンタール(米国)が行った
実験による、教育心理学の用語。教師期待効果、ローゼンタール効果とも言う。学習者は褒めたほう
が学習意欲は高まる。豚も褒めれば木に登るの喩えの通り。

   漢字の教え方

①漢字圏以外の学習者にとって漢字は符号やマークの集合にしか見えない事を認識する。日本人が
 アラビア語を見てもちんぷんかんぷんで右から読むのか左から読むのさえ分からないのと同じ。

②中国人は漢字は問題ないと思いがちだが、発音は異なるのでいつまでたってもうまく読めないこと
 がある〈負の転移:既存知識がかえって邪魔をして学習の障害になる〉


③パターンで認識させる。新漢英辞典〈研究者〉の著者ハルペン・ジャックは308の漢字原子で漢字
 の構成を説明している。(部首索引は全部で約
250なので、基本的には同じ構想なのか?人、山、
 川など絵から説明できる漢字は覚えやすいはず。藤原)

  発音指導:

①自分の発音を真似させるのだがうまくいかない:学習者の発音を真似て発声し、学習者に正規の
 発音との違いを認識させる。子音の場合、舌(調音者)が口の中のどこに触れているか(調音点)
 を確認し、舌の位置の違いを学習者に教える。

②日本語の(おん)50音+濁音(ガ、ギ、グ、、)+半濁音(パ、ピ、プ、、)+拗音(キャ、キュ、、、)+撥音()101~115
 で他外国に比べ少ないので、基本的には外国人にとって発音は容易。

③母音「う」:日本語は母音が5個で外国語に比べ単純だが、「う」は非円唇(唇を丸くしない)音で
 英語等と違うことを注意。
 

④撥音「ん」は言葉の中で「ん」の後に続く子音の影響を受けて発音が変わっている。

 (1)    マ行、バ行、パ行の音に続く場合。 これらの音は一度上下の唇を閉じて発音される。
   「ん」は 
[] の音になっている。新聞(しぶん)、鉛筆(えぴつ)洗面(せめん)

 (2)    タ行、ダ行、ナ行、サ行、ザ行の音に続く場合。舌先が歯ぐきの裏に当たって音が出る。
   この場合は 
[] の音になる。反対(はたい)判断(はだん)本人(ほにん)賛成
  (させい)銀座(ぎざ)

(3)  カ行、ガ行の音に続く場合。舌が上あごの奥の柔らかい部分に当たっている。参加
   (さか)漫画(まが)発音は鼻音の
[ŋ] になる

 (4)     語末と母音の前は [N] の音。範囲(はい)本(ほ
   この4つを「ん」の「異音」という。

⑤基本的には1音=1拍で発音し、各一拍はほぼ同じ長さ(等時性)。促音(小さいツ)も1拍になる。
 発展(はってん)は4拍となる。学習者は促音の発音が出来ないで(はてん)というようになりが
 ち。拍を取りながら教える。撥音の「ん」も1拍で、
Spring は英語では1音節だが日本語では 
 スプリング、(
SUPURINGU)5音節、5拍となり大きく異なる。拗音の 「きゃ」
 「しゃ」・・・も1拍となる。

  アクセント

①日本語は高低のアクセント(英語は強弱のアクセント)。1語の中で高いところは1箇所しかない。
 第1音節と第2音節とでは必ず高さが変わる。


②アクセントの形は4種類

   平板型:第1音節が低くそれ以降は後続する助詞を含めて全て高い「にほんごが」
  尾高型:第1音節が低くそれ以降が高いが、後続する助詞は低くなる「おとこが」
 中高型:第1音節が低くそれ以降が高いが、語の終わる前に低くなる「すくない」
 頭高型:第1音節が高くそれ以降の音節が低い「かいがい」

  ・  変音現象

   2語が複合する時、片方の語の発音が変化する

    ①連音:むかし+はなし→むかしばなし

    ②連声(れんじょう):さんい→さんみ(三位) かんおん→かんのん(観音)

    ③転音(母音交代):さけ+や→さかや(酒屋) かぜ+かみ→かざかみ(風上)

    ④音便:ひきまげる→ひんまげる  たちて→たって(発って)

    ⑤音韻添加:はる+あめ→はるさめ(春雨)

    ⑥音韻融合:きうり→きゅうり

    ⑦音韻脱落:はだあし→はだし  かわはら→かわら


類義語の説明

   夢、希望、志望の違いは大、中、小で説明できる。(具体性、切実性、卑近性)

   類義語の区分

    ①動作の結果に重点か、過程に重点か

       経つと過ぎる、越すと越える

    ②意味合いが主観的か、客観的か

       勿論と当然、大切と重要

    ③意味合いが即時的か、持続的か

       気分と気持、冷たいと寒い

    ④意味合いが表面的か、内面的か

       きれいと美しい、 楽しいと嬉しい

    ⑤意味合いが指示対象より近いか、遠いか

       よけるとさける、逃げると逃れる
                                    以上

平成22年度 文化庁日本語教育大会(8月27日昭和女子大学) 聴講記

201097日 藤原豊太郎

1.全体

  全国の外国人登録者は219万人で人口比1.7%、定住傾向にある。少子高齢化による労働力人口の
減少は外国人労働力の需要増を予測させる。

参考1:現在の労働力人口6,600万人が、2020年には500万~600万減少の予測。

参考2: 外国人登録  浦安   3,758   2.3%
                                    船橋   11,960人 2.0%
                                  市川   13,477人 2.8%

  平成21年11月現在の国内の日本語教育機関、教師、学習者は次の通り。

                    機関、施設数  教師数  学習者数

     大学、専門学校等          542              4,574       55,621
          一般の施設、団体          1,113           24,616     115,237
           合計            1,655           29,190      170,858

  機関、施設数及び教師数はこの5年間ほぼ同水準だが、学習者数は5年前(128,500)に対し1.3倍と
なっている。教師数のうちボランティアは
15,753人、54%である。

  日本語教師養成機関、教師数、受講者数はH21年度は全てが前年比減少している

                               H16年度 H17     H18      H19     H20      H21

        機関、施設数         390      476      528       541      521      500

     教師数                5,004     4,823    4,906    5,172    5,510    4,138

         受講者数             40,729   37,965   37,628  38,200   40,586   33,608

  小、中、高学校における外国人児童数はH.20で約75,000人。内、日本語指導が必要な生徒は
  約
28,000人である。 

    日本語指導が必要な児童数の推移

                 H15年度 H16      H17     H18     H19     H20

        小学校    12,523   13,307   14,281   15,946   18,142   19,504

    中学校        5,317    5,097    5,076    5,246    5,978    7,576

         高校他       1,202    1,274    1,335    1,222    1,291    1,495

    合        19,042   19,678   20,692   22,413   25,411   28,575

2.特別講演:にしゃんた氏(羽衣国際大学准教授、スリランカ出身、日本国籍)

   生活者としての外国人には3つの壁がある;

      言葉の壁:日本語は難しい(電車が普通と思ったら不通だった。)
      制度の壁:国籍条項で就職に苦労した。
      心の壁:混血、ハーフ等の差別。
     その壁を乗り越えて、明るく暮らし、優しい社会を作りたい。

3.事業報告

(1)  神奈川県営いちょう団地(横浜市、大和市)における日本語教育(多文化まちづくり工房)
1980
年よりベトナム難民、中国帰国者を受け入れており外国人は住民の約20%で、イベント等が
あると老人は日本人、若者は外国人の図式。いちょう小学校では
65%が外国人で1年生ではそれが
80%に上る。自治会、大学、消防、警察、図書館との連携が必須。週2回、3ヶ月で全60回の
日本語教室を実施。進学希望者4人全員が定時制高校に進学した。


(2)  岐阜県可児市の日系人のための日本語支援者養成講座(NPO法人可児市国際交流協会)。
外国人登録1990年以降急増し、2008年は
7,518人で人口の7.2%。工業団地、自動車、家電
工場で働くものが多い。ブラジル人が
61%,フィリッピン人25%で、家族の呼び寄せ、国際結婚で
永住する住民も増えている。市の多文化共生センター「フレビア」の指定管理者になった事により
活動が活発化した。「介護ヘルパー
2級資格取得講座」「フォークリフト運転技能研修」も行うが
日本語学習の時間を必ず入れている。「日系人のための日本語支援者養成講座」は土曜日の午前

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時間を使い、基礎コース、実践コース夫々12回を実施。学校での通訳サポーター、日本語教室
でのボランティア活動をしている受講者も多かった。


(3)  富山県「地域ボランティアブラッシュアップ講座」(有限会社トヤマ・ヤポニカ)。富山県の外国
人登録は人口比
1.41%. 内訳は日系ブラジル人労働者、パキスタン人中古車販売業者、中国人、フィ
リピン人等の配偶者など。ヤポニカがボランティアの養成を行い地域の国際交流協会又は福祉協議
会と共に地域における日本語教室作りを行っている。
2060時間の講習実習を行い16名のボラン
ティアが受講。対話を楽しむボランティアに構造の意識化(=指導)を強要すると、対話での学習
者との良い関係が阻害され、ボランティアに大きな、負担と責任を負わせることになる。この時、
対話中心の活動ができる地域日本語教育専門家(ヤポニカ)が指導を担えばボランティアは対話に
集中して学習者との良好な関係が保てる、というヤポニカの考え。

4.「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について:

  外国人が地域社会で孤立することなく生活していくためには一定の日本語能力が不可欠。しかし
「生活者としての外国人」は仕事を持っており、日本語学習のためにまとまった時間を割くのは困難な
状況にある。各地域における多様な日本語教育の実践の指針となる標準的
(最低限必要)な教育内容を
提示したのが-「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案について-
(A4 126)である。来日間もない生活者としての外国人を主な対象としている。

  生活上必要な行為を以下8つに分類し(大分類)30単位、60時間を標準学習時間としている。
(難民に対する日本語教育
572時間、ドイツでの移民に対する言語教育450700時間を考えると、
この
60時間は、来日間もないとは言え、かなり日本語ができる外国人生活者が対象と言うことになる)

                              1.健康安全に暮らす                     7単位
                              2.住居を確保維持する                  2単位
                              3.消費活動を行う                         4.5単位
                              4.目的地に移動する                     3.5単位
                              5.人とかかわる                            2.5単位
                              6.社会の一員となる      4.5単位
                              7.自身を豊かにする                     2単位
                              8.情報を収集発信する        4単位

何故か別紙II 基礎資料p120の生活上の行為の分類一覧表では、「子育て・教育を行」うと「働く」が
追加されており大項目は
8でなく、10となっている。

  大分類は更に中分類、小分類に別れ小分類には具体的会話例が載っている。小分類には能力記述
(can do statement),場面状況、会話の実例、文法、語彙の説明がある。

  大分類は5.以降は抽象記述になっている。「人とかかわる」は「挨拶」なのだが、挨拶としたほうが
具体的で分かりやすい。具体記述に統一すべきではないか。分類番号の構成説明も無く、全体として
非常に理解しにくいカリキュラム構成と思う。

  「教室活動を行う際の参考資料」(p.113p.118)は多くのネット上の参考サイトのURL(アドレス)
記載されており参考になる。

          以上

日本語ボランティアのための研修会に参加して 


船橋市国際交流協会所属    中央公民館日本語教室勉強会主催

2010.07.27

当代島クラス 須田光一

727日午後、外は大変な暑さでしたが、日本語ボランティア50名余が船橋市中央公民館に集まり、聖徳大学北村教授の熱の入った講義を約3時間余受講しました。(北村教授は『日本語教育能力検定、全重要語チェック集』等の著者)

 北村教授の研修会は昨年の7月に第1回が始まり、今回で4回目(平成22年は3回目)。私は2回目の受講ですが、毎回とても熱の入った面白い講義です。

 今回の講義は『日本語ボランティアの質問に答える』というテーマでした。

全体の講義の根底には、≪日本語ボランティアは『生活に役に立つ日本語(サバイバル日本語)を具体的にどう教えるか』を基本に、『学習者が興味を持っていて、学習者がすぐに使えるか』という視点を持って活動することが大事≫という流れを感じました。私もそうありたいと思います。(サバイバル日本語に興味のある方は、文化庁ホームページ日本語教育小委員会を参照)

 

講義の項目は次の通りでした。

①教材(フラッシュカード・絵カード等)の効率的使い方   ②漢字の教え方 

③多義語(どうも・結構です等)の初心者への教え方     ④副詞の教え方(例『まだ』と『もう』)

⑤『みんなの日本語』以外によいテキストは?           ⑥文字(ひらがな・カタカナ)の導入方法 

⑦母語干渉による誤使用について               ⑧中級者に対する指導方法

 各項目とも具体的な方法を紹介していただき、とても有益でした。

 教え方について、≪教科書の例文は、日常生活では余り使われなくなったものもあるので、『教科書をそのまま教える』のではなく、自分で例文を検証し、『教科書を参考資料として教える』ことが大切です。そして、中級になると、教材は文構造(単文・複文・重文)が複雑となるため、大意をどのように把握するかの指導等ボランティアの国語力も問われてくるようになります。≫という概説の後、具体的に文章を例示していただき、ポイントを解説していただきました。

≪自分の勉強も大事です≫という日本語ボランティアに対する愛の鞭もいただきました。

 北村教授の研修会は、ボランティア活動をしていく上での色々な問題を取り上げて、具体的に考えるヒントを提示してくださる大変有益な研修会です。また、『うらやす日本語指導力向上講座』で一緒に勉強した船橋市中央公民館日本語教室の皆様主催で開催されていますので、UIFA以外の日本語ボランティアの方との交流の場ともなります。

研修会にお誘いいただいた船橋市中央公民館日本語教室の皆様に感謝致しますと同時に、UIFAの皆様も時間が許せば次回是非ご参加されてはいかがでしょうか。