世界の写真家314人(13日夜現在)が、韓国のドキュメンタリー写真家、安世鴻(アン・セホン)さん(41)=写真=に対する支持を表明した。安さんは今月26日から来月9日まで、東京・新宿のニコンサロンで、旧日本軍の慰安婦たちをテーマにした写真展『重重』を開催する予定だったが、ニコン側から先月、写真展の中止を突然通告された。
この知らせが伝わるや、英国人のある写真家が安さんを支持するウェブサイト「I AM CENSORED(私は検閲に遭った)」を開設し「安さんのように難しいテーマを取り上げる写真家たちが、政治的な介入なしに活動できるようにすべきだ」という内容の抗議文を掲載した。さらに、国際的な報道写真家グループ「マグナム」に所属するクリス・スティール・パーキンス氏など約300人が、13日までに同サイトの「支持者」リストに署名した。
3年前から名古屋に住んでいる安さんは13日、本紙の電話取材に対し「今年初め、ニコンが写真展を後援することを決定し、ポスターまで作成してくれた。ところが、先月22日にニコンサロンの事務局から電話がかかってきて、一方的に『写真展が中止された。理由は説明できない』と通告された」と語った。安さんは「日本の右翼団体から圧力を掛けられたためだろう」と推測している。先月半ば、写真展についての記事が新聞に掲載されるや、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」のユーザーたちがニコンの本社前で「写真展を中止しなければ、ニコンに対する不買運動を実行する」としてデモを行ったためだ。
日本の右翼は安さんに対する攻撃にも乗り出した。「従軍慰安婦はいなかった。反日写真家は韓国に帰れ」という内容の電話や電子メール、封書などが殺到した。
安さんは「数十年にわたって積み重なってきた元慰安婦たちの『恨(ハン=晴らせない無念の思い)』を解くためにも、精いっぱい戦っていきたい」と語った。