香川がいなくても、宮市がいる−。14日に発表されたロンドン五輪男子サッカーの予備登録35人には、ボルトンからロンドンを本拠とするアーセナルに復帰した日本代表FW宮市亮(19)も選出された。関塚隆監督体制下では初選出ながら、指揮官が五輪代表入りを熱望していた“恋人”だ。マンチェスター・ユナイテッドに移籍するMF香川真司(23)=ドルトムント=の選出が見送られたとはいえ、能力の高い攻撃陣がひしめく中、18人の本大会メンバーに選出されるか。本大会のメンバーは男女とも7月2日に発表される。
「意中の恋人」が初めて関塚監督の五輪候補に“指名”された。23歳以下のメンバー32人の中で、候補合宿にさえ呼ばれたことがないのは宮市ただ1人。そこに、入れ替えではなく、継続を断行した関塚監督の高い期待値が表れている。
もっとも、これまでの「経過」を見れば宮市に対する指揮官の熱意が分かる。フェイエノールト所属の2011年、ボルトン所属の12年の2度にわたって、関塚監督自らが足を運んで宮市のプレーを生視察。出場機会のなかったアーセナル所属時の昨年末には、ロンドンの練習場までわざわざ出向いて食事を共にしている。慎重できめ細かい指揮官にしては、大胆な「ラブアタック」だ。
もちろん、ほれ込んだ実力は本物−。主戦場の左サイドを爆発的なスピードで突破する驚速スタイルは、プレミアリーグで実証済み。さらに、その即応性も魅力大。期限付き移籍したフェイエノールト、ボルトンでは合流間もなく結果を残した。スピードというシンプルな特徴、オープンな性格は「ぶっつけ本番」にも対応可能だろう。
肝心の宮市自身も、ロンドン五輪出場へ意欲的な言葉を残している。
「所属チーム(アーセナル)がロンドンにあるのも何かの縁があると思う。(出場する)権利を与えられたら頑張りたい」
「日本サッカー界にとっては通過点かもしれないが、自分にとっては集大成」と言い切る関塚監督にとって、宮市は単なる補充メンバーではない。OA同様、メダル獲得への切り札補強なのだ。 (松岡祐司)
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