オウム高橋克也容疑者を逮捕

警視庁蒲田署を出る高橋克也容疑者

　警視庁築地署捜査本部は１５日、１９９５年の地下鉄サリン事件の殺人と殺人未遂容疑などで、オウム真理教元信者高橋克也容疑者（５４）を逮捕した。特別手配容疑者の最後の１人で、９５年５月の手配から１７年間逃走を続けていた。今月４日に川崎市内の潜伏先が判明したが、捜査員が踏み込む直前に姿を消していた。

　サリンを使った無差別殺人など教団による事件では元幹部ら１３人が死刑、５人が無期懲役となった。高橋容疑者の逮捕で、一連の事件は大きな節目を迎えた。

　捜査本部は、関与が疑われる事件で高橋容疑者が果たした役割や逃走生活の全容解明を進めるとともに、多額の現金を所持していた経緯など組織的支援がなかったかも調べる。

　高橋容疑者は、地下鉄サリン事件について「幹部の指示でやった。目的については一部知らなかったこともある」と供述。また「現金は４７０万円ぐらいある。（写真が公開された）キャリーバッグは（横浜市の）鶴見駅のコインロッカーに入れた。衣類や本、携帯電話が入っている」と話している。

　捜査本部によると、１５日午前８時半ごろ、高橋容疑者に似ている男がいるとの通報があり、捜査員が東京都大田区西蒲田７丁目の漫画喫茶で高橋容疑者を発見した。午前９時２０分ごろに会計を済ませた後、捜査員に「高橋か」と問われ、「はい」と答えた。指紋などで本人と確認した。店には同日午前６時すぎに入店していた。

　オウム真理教をめぐっては、元幹部平田信被告（４７）＝逮捕監禁罪などで起訴＝が昨年１２月３１日に警視庁に出頭、元信者菊地直子容疑者（４０）＝地下鉄サリン事件の殺人容疑などで逮捕＝も今月３日に相模原市内で発見、逮捕された。

　高橋容疑者は９６年１１月まで菊地容疑者らと埼玉県所沢市のアジトでの潜伏情報を最後に、足取りが途絶えていた。

　しかし、菊地容疑者の供述などから、高橋容疑者が菊地容疑者の逮捕翌日の今月４日まで「櫻井信哉」の偽名で川崎市内の建設会社に勤務していたことが判明。同日、偽名口座から預金２３８万円を下ろし、キャリーバッグを購入して逃走したため、捜査本部は防犯カメラの画像などを公開し、発見に全力を挙げていた。

　逮捕容疑は、松本智津夫死刑囚（５７）＝教祖名麻原彰晃＝らと共謀、９５年３月２０日、東京都内の地下鉄３路線の車両内に猛毒のサリンをまいて１２人を殺害、約５５５０人に重軽傷を負わせた疑い。

（2012年6月15日14時20分スポーツ報知）