■韓国の風俗産業が元凶
女性家族部(省に相当)が2007年に実施した実態調査によると、韓国の風俗産業の経済規模はおよそ14兆952億ウォン(現在のレートで約9622億円、以下同じ)と試算されている。これは、この年の国家予算である239兆ウォン(約16兆円)のおよそ6%に相当する額だ。また調査によると、韓国全土で4万6247カ所の風俗店が営業しており、これらの店で働く女性は26万9707人に達するという。さらに、客となる男性は年間で延べ9395万人に達する。成人男性の数を2000万人と考えると、韓国では1人の成人男性が1年に5回近く風俗店を利用していることになる。
一般的に売買春行為が密かに行われている点を考慮すると、実際の数はこれよりもはるかに多いと考えることもできる。男性の権利擁護を目指す男性連帯は昨年12月、韓国国内の風俗店で働く女性の数を189万人と推定した。同団体の関係者は「自発的に売春を行う女性が、現実として非常に多いことも問題だ」と指摘する。
全国のどこの都市でも、主要な地域では風俗店のネオンサインが一晩中輝いている。ソウルでも江南駅や宣陵駅周辺では、裸の女性の写真を印刷したチラシが道端に落ちていない日はない。売春が行われる「マッサージルーム」には、日中からスーツ姿のサラリーマンが出入りしている。オフィステル売春、フルサロン、ルームサロンなど、語源の分からない言葉もいつの間にか次々と誕生している。さまざまな形態の風俗店が毎日のように新たに登場しているからだ。
このように韓国国内の「風俗インフラ」に慣れた韓国人たちが、海外に出ても同じような感覚で売買春を行っているというわけだ。中央大学社会学科の申光栄(シン・グァンヨン)教授は「フィリピンは『家政婦の輸出国』という汚名を挽回するため、今なお多くの努力を傾けている。韓国も先進国へと成長する過程で、“売春女性輸出国”というイメージは大きなマイナス要因になるだろう」と指摘した。