【社説】家計債務という時限爆弾を放置するな

 大韓商工会議所は14日、韓国の家計債務が国内総生産(GDP)の81%に達し、デフォルト寸前となったギリシャよりも20ポイント高く、スペイン(82%)と並ぶ水準にあるとする報告書を発表した。昨年から今年にかけ、経済シンクタンク、学識者、現職と元の経済官僚の口からは、韓国経済が抱える時限爆弾は家計債務だという警告が相次いで聞かれた。

 今年3月末現在、家計債務は911兆4000億ウォン(約61兆8000億円)で、前年末に比べ5300億ウォン(約360億円)減少した。韓国政府が家計債務の急増を懸念し始めると、銀行は今年に入り、庶民層に対する融資窓口を閉ざし、銀行による家計向け融資が2兆7000億ウォン(約1830億円)減少したからだ。貯蓄銀行問題が表面化して以降、貯蓄銀行業界も庶民層への融資を引き締めており、クレジットカード会社もキャッシングサービスの限度を引き下げている。

 庶民は銀行、保険会社、貯蓄銀行など正規の金融機関から資金を借りられなくなると、保険や預金を解約し、生活費に充てている。急な資金が必要な人は、高金利を顧みず貸金業者に頼り、それでも駄目なら、金利が数百パーセントに達するヤミ金融業者に手を出している。

 権赫世(クォン・ヒョクセ)金融監督院長は「信用度が低い庶民250万人が年30%以上の高金利で貸金業者を利用していると推定される」と述べた。借入金を期限までに返済できない人も急増している。銀行による家計向け融資の延滞率は、昨年12月の0.67%から今年4月には0.89%に上昇。専門クレジットカード会社6社の延滞率は3月末に2.09%となり、2009年末以来の2%台を記録した。

 とはいえ、家計債務が危険水位に達している状況で、金融機関に家計向け融資をみだりに増やせとは言えない。政府と金融機関は力を合わせ、庶民の高金利ローンを低金利ローンに、短期ローンを長期ローンに切り替え、返済負担を軽減する方策を探らなければならない。複数の金融機関から借金をしている多重債務者に対する総合的な対策も必要だ。家計債務に対する抜本的な解決策を探らず、経済閣僚が変わるごと、あるいは政権ごとに応急処置ばかりして、時限爆弾をリレーしていると、いつかは爆発する時が来る。

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