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日本臓器移植ネットワークは14日、富山大学付属病院で、改正臓器移植法にもとづき、6歳未満の男児が脳死と判定され、臓器を提供することになったと発表した。脳死となった幼児から臓器提供は初めてとなる。
移植ネットは午後7時から、厚生労働省で会見し、経緯などを説明した。
男児は、低酸素性脳症だった。今月7日、主治医から家族に「重篤な脳障害をきたしている」と病状を説明。その後、家族から臓器提供の申し出があった。
9日、富山県のコーディネーターが家族に一般的な臓器提供の説明を実施。9、10日の2日間で70分の説明を行った。そのうえで主治医は10日、脳死の可能性があると診断。12日、家族から臓器提供の説明を求める申し出があり、主治医は日本臓器移植ネットワークに連絡した。
富山大病院は、院内に虐待防止委員会があり、マニュアルが整備されていることを確認。コーディネーター2人が、1時間にわたって説明し、家族と親族8人の総意として承諾されたという。
県警や児童相談所に虐待の確認が行われたほか、県警の検視もあったという。大学では、虐待防止委員会で確認したほか、臓器摘出に関しても倫理委員会で承認された。
臓器移植ネットは会見で、「事件性、虐待の疑いがないことを確認している」と説明した。
家族が承諾した臓器は、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸、眼球。13日午前9時15分から1回目の脳死判定が始まり、13日午後0時8分に終了。24時間の間隔を開けて2回目の脳死判定を行い、14日午後2時11分、臓器移植法による脳死と判定された。
男児の両親は、ネットワークを通じて、「大変悲しいことだが、大きな希望を残してくれた。息子が誰かの体の一部となって長く生きてくれるのではないかと。このような事をなしとげる息子を誇りに思っている」などとするコメントを発表した。
改正臓器移植法に基づく15歳未満の子どもからの脳死臓器提供は、2011年4月に関東甲信越地方で、10代前半の男児以来2例目。10年7月の改正臓器移植法本格施行後、脳死での臓器提供は91例目。
改正法の本格施行で、脳死となった小児からの臓器提供が可能となった。提供の前に虐待がなかったことを確認する必要がある。