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2012年6月14日19時37分

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6歳未満の男児から脳死臓器提供へ 富山大病院、国内初

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写真:幼児の臓器移植について会見する日本臓器移植ネットワークの芦刈淳太郎・医療本部長(左)。右は厚生労働省の間隆一郎・健康局疾病対策課臓器移植対策室室長=14日午後7時25分、東京・霞が関、遠藤啓生撮影拡大幼児の臓器移植について会見する日本臓器移植ネットワークの芦刈淳太郎・医療本部長(左)。右は厚生労働省の間隆一郎・健康局疾病対策課臓器移植対策室室長=14日午後7時25分、東京・霞が関、遠藤啓生撮影

図:脳死の子ども(6歳未満)からの臓器提供の流れ拡大脳死の子ども(6歳未満)からの臓器提供の流れ

 日本臓器移植ネットワークは14日、富山大学付属病院で、改正臓器移植法にもとづき、6歳未満の男児が脳死と判定され、臓器を提供することになったと発表した。脳死となった幼児から臓器提供は初めてとなる。

 移植ネットは午後7時から、厚生労働省で会見し、経緯などを説明した。

 男児は、低酸素性脳症だった。今月7日、主治医から家族に「重篤な脳障害をきたしている」と病状を説明。その後、家族から臓器提供の申し出があった。

 9日、富山県のコーディネーターが家族に一般的な臓器提供の説明を実施。9、10日の2日間で70分の説明を行った。そのうえで主治医は10日、脳死の可能性があると診断。12日、家族から臓器提供の説明を求める申し出があり、主治医は日本臓器移植ネットワークに連絡した。

 富山大病院は、院内に虐待防止委員会があり、マニュアルが整備されていることを確認。コーディネーター2人が、1時間にわたって説明し、家族と親族8人の総意として承諾されたという。

 県警や児童相談所に虐待の確認が行われたほか、県警の検視もあったという。大学では、虐待防止委員会で確認したほか、臓器摘出に関しても倫理委員会で承認された。

 臓器移植ネットは会見で、「事件性、虐待の疑いがないことを確認している」と説明した。

 家族が承諾した臓器は、心臓、肺、肝臓、膵臓、腎臓、小腸、眼球。13日午前9時15分から1回目の脳死判定が始まり、13日午後0時8分に終了。24時間の間隔を開けて2回目の脳死判定を行い、14日午後2時11分、臓器移植法による脳死と判定された。

 男児の両親は、ネットワークを通じて、「大変悲しいことだが、大きな希望を残してくれた。息子が誰かの体の一部となって長く生きてくれるのではないかと。このような事をなしとげる息子を誇りに思っている」などとするコメントを発表した。

 改正臓器移植法に基づく15歳未満の子どもからの脳死臓器提供は、2011年4月に関東甲信越地方で、10代前半の男児以来2例目。10年7月の改正臓器移植法本格施行後、脳死での臓器提供は91例目。

 改正法の本格施行で、脳死となった小児からの臓器提供が可能となった。提供の前に虐待がなかったことを確認する必要がある。

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