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【社会】

喜寿の挑戦 オペラ主役 「椿姫」2時間半、1人で 

2012年6月15日 09時37分

 東京都文京区のオペラ研究所に所属し、ことし喜寿を迎えた沼尻重男さん(77)=練馬区=が19日、全幕オペラ「椿(つばき)姫」の主役に挑戦する。オペラに出合って15年。2時間半ほぼ出ずっぱりの役を1人で演じるのは、アマチュアでは異例という。「見た人が『自分も何かに挑戦してみよう』と思ってくれたら僕がやる意味がある」と日々、努力を重ねる。 (井上圭子)

 中学時代は合唱部に所属。元鉄鋼マンで、定年後に「忙しくてやれなかった歌をもう一度」と、六十二歳で文京区民オペラに参加した。ソリストを経験、演技で個性を表現するオペラの魅力にはまった。より本格的に取り組むため、区内のオペラ研究所「リリカイタリアーナ」の五十歳以上限定グループ「オペラ・シニアーズ」に入団した。現在、最年長。研究所主宰者で声楽家の沢木和彦さん(65)は「オペラは専門家だけのものではない。歌い表現する喜びは生きる力になる」と熟年オペラの意義を説く。

 沼尻さんは昨年、「喜寿の記念に全幕を一人で歌いきってみたい」と提案。長丁場となる「椿姫」の主役は、アマチュアオペラでは数人で分けて演じることが多いが、団員仲間や研究所の生徒らが「お祝いに共演しよう」と応えた。

 一年間、一人で歌い通す訓練を重ねてきた。「あの年で全幕やり遂げようとする姿勢が皆に夢と希望を与える。プロでもやらない。ギネス記録もの」と沢木さんも脱帽する。

 演じるのは、病に侵されたヒロインの高級売春婦を愛する青年将校アルフレード。父親役は三十代の男性で、見た目の年齢が逆転してしまうため、青年風のカツラをつける。

 中学生のとき胸膜炎で生死の境をさまよった以外は病気知らず。一生、元気に歌い続けるため、朝のラジオ体操と一万歩のウオーキングは欠かさない。

 公演は午後六時、練馬文化センター小ホール。無料。問い合わせは、リリカイタリアーナオペラ=電03(3822)0601=へ。

 

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