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大飯3・4号機の「保安院」資料に重大疑念――制御棒の挿入が間にあわない恐れ(2/2)

週刊金曜日 4月9日(月)18時0分配信

 三月一三日に開かれた原子力安全委員会の同三、四号機検討会で、保安院は二つの海底活断層の連動では制御棒が「許容値二・二秒に対して一・八八秒で挿入される」との関電の見解を検証なしに提示した。これだと地震で三つの断層が連動しても、制御棒挿入時間の評価基準値二・二秒以内に収まる計算だ。

 関電と保安院はもはや二つの海底活断層の連動だけを想定したやり方は通じないと判断し、従来の評価値を意図的に切り下げた。こうした数字のトリックで、安全性が確保されるはずがない。しかも政府が一次評価だけで同三、四号機の再稼働を強行しようとしても、福井県の西川一誠知事は、再稼働を判断する前提である「原発暫定安全基準の設定に関する国の方針提示」等の要求を変えておらず、県の同意を得ることは困難視されている。

 再稼働反対の気運も盛り上がっている。環境団体「グリーンピース」が三月一六日から一八日にかけて実施した福井県民五一七人を対象とする世論調査では、再稼働に関して六八・一%が「不安」、七四・一%が「政治判断は性急すぎる」と回答。また福井県越前市議会が一九日の本会議で、同三・四号機について「拙速な再稼働に反対する意見書」を全会一致で可決した。二四日には、東京での「再稼働を許さない さようなら原発」集会に約六〇〇〇人が集まった。二五日に福井市で開かれた再稼働反対集会には約七〇〇人が参加。あいさつに立った原発反対県民会議の中嶌哲演代表委員(小浜・明通寺住職)は「後に続く者たちのために再稼働は許さない」と訴え、二六日から県庁前で抗議の断食に入った。

(成澤宗男・編集部、3月30日号)

最終更新:4月9日(月)18時0分

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