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【社会】

酵素除きがん細胞死滅 愛知県がんセンター研

2012年6月12日 02時03分

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 細胞分裂に必要な酵素を取り除くと、がん細胞が死滅する一方で、正常な細胞は生存することを、愛知県がんセンター研究所の稲垣昌樹部長や猪子誠人研究員らのチームが発見し、米科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」に掲載した。正常な細胞への影響が少ないことで、副作用の低い抗がん剤の開発が期待される。

 細胞分裂には、正常細胞やがん細胞にかかわらず、酵素「オーロラA」が働いている。グループは、オーロラAを欠如させた人間の細胞を培養。正常細胞と子宮頸(けい)がん細胞を比較した。がん細胞は細胞分裂が正常に起こらず死滅した。

 一方、正常細胞では、細胞増殖を休止させる「一次線毛」を形成し、健康な細胞のまま休眠状態で生存することが分かった。休眠状態になっても、細胞はいずれ正常に活動する。

 オーロラAを抑制すると、がん細胞を死滅させることは知られており、実用化に向けて治験も始まっている。しかし、副作用につながる正常細胞への影響は確認されていなかった。

 正常な細胞は生存するため、脱毛などの副作用が軽減され、抗がん剤の投薬量を増やせる可能性が高い。チームは今後、子宮頸がん以外のがん細胞でも調べる。

 稲垣部長は「抗がん剤開発には、正常細胞への影響を懸念する視点が必要。オーロラAだけを抑制する治療薬の開発により、患者へのダメージが少ない治療が期待される」と話している。

(中日新聞)

 

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