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【社会】

電源喪失会議資料 電力側、メモ黒塗り要求

 原発での長時間の全交流電源喪失を「考慮する必要はない」とした国の指針を追認した原子力安全委員会の作業部会の資料が伏せられていた問題で、東京電力と関西電力が安全委から開示について意見を求められた際、安全委側の書き込みを黒塗りにするよう求めていたことが分かった。安全委は要求を突っぱね、書き込みを残したまま公開した。

 作業部会は一九九一〜九三年に開かれたが、本紙の情報公開請求がきっかけで昨年六月に発見されるまで、報告書や資料の所在が不明だった。

 安全委はその後、作業部会の会議資料は昨秋までに全部公開したと説明していたが、福島第一原発事故の国会事故調査委員会からの指摘を受け、一部が非公表になっていたことが判明。十二日夜、公開漏れの経緯や東電、関電の担当者とやりとりしたメールをホームページに掲載した。

 それによると、安全委は昨年七月、作業部会に協力者として参加した東電と関電に会議資料を送り、企業の知的財産に当たるなど非開示とすべき情報がないか確認を求めた。

 これに対し、東電の原子力設備管理部の担当者は昨年七月末のメールで「様々なメモ書きがあり、(略)そのまま開示されると支障のある表現も見受けられます」と指摘。「メモ部分は消しゴム?にて消して頂いた上で、元々の資料に復元した形で開示という方向でご検討頂くのが適当」と求めていた。

 関電も八月中旬、原子力事業本部マネジャーが「手書きで種々記載されている事項については、正式な書類としてWG(作業部会)に提出された資料の情報ではないものが含まれる」と主張し、すべて黒塗りにするよう要求していた。

 手書き部分には、作業部会でのやりとりや報告書の内容が変わっていった様子が分かる記述があった。

 安全委は「われわれに文責がある。情報公開法に照らし隠す必要がない」(都筑秀明・管理環境課長)と要求を拒み、個人情報などを除いてそのまま公開した。

 資料には、安全委事務局が、短時間の電源喪失を考えるだけでよいとする理由を電力会社側に「作文」するよう求めたものも含まれていた。

 作文指示に対する東電からの回答には「これでOK」との書き込みがあった。

 東電の広報担当者は「詳しい事情が分かるものがいない。事実関係を調べて回答する」としている。

 

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