淫獣捜査 隷辱の魔罠
【43】 淫獣たちの館へ
俺と涼子さんのやり取りを、支配人はジッと鋭い眼光で見つめていた。
その視線を俺は正面をから受け止めると、不敵にも口端を吊り上げていた。
そんな俺の反応が少し予想外だったのだろう、支配人は「ほぅ」と意外そうな表情を一瞬浮かべると、すぐさま相好を崩した。
「うむうむ、折角だ。主の方には最後の仕上げをしていただこう」
そう言って、涼子さんの背後に跪いていた黒スーツの男に顔を向けた。
黒スーツの男は支配人に対し恭しく頷くと、手元に置いたケースより液体の詰まった四角いパックを取り出した。それは点滴などに使われるポリエチレン製のパックのように見えたが、中身は浣腸液であるのは、事前にナナさんに教えてもらっていた。
男はそれを、先ほどまで握りつぶしていたポンプの付いたチューブを手にすると、ポンプの手前で手前で二股なっているもう片方へと繋いだ。
そして、それがしっかりと接続されているのを確認すると、男は恭しく俺に差し出すのだった。
「どうぞ、自らの手で奴隷に浣腸をしてやってくだされ」
支配人は、にこやかな笑みを浮かべると俺に促した。
俺は頷くと、そのパックを手に取った。
「おッ、俺にもやらせてくれるのか。これもルーキーのお陰だな」
俺の背後から、嬉しそうにするタギシさんの声が聴こえた。どうやら、彼も俺と同じく美里さんに浣腸をする役目を仰せつかったのだろう。俺と背後にいる美里さんの傍で跪くのが気配で伝わた。
「そう睨むなって、そんな目で見られると……すぐでも可愛がってやりたくなっちまうだろ」
背後の雰囲気から、楽しそうに笑みを浮かべるタギシさんと、それを涙目で睨みつけているであろう美里さんの様子が眼に浮かぶようだった。
その光景に苦笑いを浮かべると、俺は涼子さんへと目を向けた。四つん這いの彼女は全頭マスクで覆われた顔を上げ、ジッと俺を見つめていた。
「さて、これから俺の手で浣腸をされる訳だが……覚悟はいいかい?」
手元の浣腸液の詰まったパックを涼子さんに見せながら、俺はつい嗜虐の笑みを浮かべた。
涼子さんはパックに視線を一瞬移した後、再び俺をジッと見つめると、ゆっくりと頷いた。
「うん、いい子だ」
それを見届けると、俺はおもむろに手元のパックを握りつぶした。パックから透明な薬液が押し出され、ゆっくりとチューブを伝い、彼女の体内へと注ぎ込まれていく。
「――ぐっ!」
腸内に注ぎ込まれる液体の感触に涼子さんが低く呻いた。
涼子さんに自らの手で浣腸をする……その事に俺は激しく興奮をしていた。だが、それと共に、頭の一部はひどく冷静でいた。
興奮に飲まれる事もなく俺は、手元のパックを丁寧に折り畳むと、全ての浣腸液を残らず彼女の体内でと注ぎ込んでいった。
「うッぅぅぅーーー!!」
涼子さんが苦悶の呻きを上げる。その様子を、今の俺は心地よくすら感じ、再び口元を綻ばせてすらいた。
空になったパックを黒スーツの男に返すと、男は手馴れた様子で尻尾の付け根からチューブと取り外し、パックごとケースに収めてその場を離れていった。
代わりに別の男が俺に歩み寄り、両手に持ったモノを俺に差し出した。
それは、犬の顔を象ったガスマスクのようなモノだった。ご丁寧に犬の耳まで備え付けられており、流線型に突き出した鼻先には、小さなタンクのような元が取り付けれていた。
「……これは?」
マスクを受け取りながら、俺は支配人に説明を促した。
「流石に、この牝犬たちがグロッキーなようだからのぅ。少し元気になるモノでも吸わせてながら行こうかと思いましてな」
麻薬の類だろうか……どうやら、途中で力尽きる事も彼女らには許されていないようだった。
支配人の周到さに苦笑いを浮かべると、俺はそのマスクを涼子さんの頭部へと被せていく。
その彼女は、腸内に注ぎ込まれた浣腸液の効果が現れたのだろう。腹部がゴロゴロと激しく腸鳴りを起こし、拘束具から露出した肌にはビッシリと珠のような汗が滲み出していた。
開口具を噛まされた口からは低い呻き声を洩らし、勝手にガクガクと激しく痙攣しはじめた身体を止められず、身体中を戒めている拘束具に取り付けられた南京錠がカタカタと音を立てた。
「じゃぁ、締め付けるぞ」
頭部を締め付けるベルトをギュッと締め、しっかりと固定されたのを確認すると俺はゆっくりと立ち上がった。そして、少し脇の離れると彼女の姿を改めて見た。
―― 全頭マスクの上に、更に犬型ガスマスクを被された事で、ますます人間的なシルエットが失せた頭部 ――
―― 握り拳の上にすっぽりと革袋を被され、拘束具で強制的に折り畳まれ、肘と膝で四つん這いにさせられた四肢 ――
―― お尻に差し込まれたアナル栓からは、フサフサの犬の尻尾が生やした下半身 ――
そこには……
―― 黒革で造られた一匹の牝犬がいた ――
―― 奴隷の証である首輪を嵌められ、そこから伸びたベルトで無残にも根元から縊り出された美乳 ――
―― そんな乳房を覆い隠すように半透明の淫具が被さり…… ――
―― 膣内には、得体の知れない蜘蛛のような淫具を…… ――
―― アナルには巨大な拡張アナル栓を…… ――
―― 更には、敏感な肉芽には淫具を噛まされ…… ――
―― 心身を苛むように浣腸液で苦痛を、淫具によって快楽が与えられようとしていた ――
そんな目の前の牝犬に、俺の知っている涼子さんが貶められている……
その事実に俺は……
「ふふッ、興奮なさっているのでしょう?」
ふいに耳元で囁かれるナナさんの声。その彼女の言葉に、俺は素直に頷いていた。
いつの間にか背後に近づいたナナさんは、俺の両肩に手を置くと、乳房を背中に押し付けるようにして、そっと寄り添った。
「そろそろ、ですわよ」
ナナさんの呟きに、俺は再び頷いた。
「準備も整ったようじゃな。では、淫具の動かすとしようかのぅ」
涼子さんらの支度が整ったのを見届けると、支配人はゆっくりと右手を上げた。
それが合図だったのだろう。その途端、涼子さんらの身体が激しく跳ねた。
「ぐぎぃぃぃぃッ!!」
彼女らは、苦悶とも喘ぎとも取れないくごもった雄叫びをマスクの下であげ、まるで暴れ馬のように激しく身体を跳ね上げた。
秘部からは、しっかり固定されたリグラーの基部の隙間から淫液を溢れ出させ、次々と粘液の糸を垂らし始めた。
その様子に、支配人は満面の笑みを浮かべると、おもむろに上げていた手を下げた。
「ひぐぅ……あッ……あ……」
すると途端に、涼子さんらの叫び声がピタリと止まった。だが、それで彼女らの責めが終わった訳ではなかった。
「おおぅぅ……」
しばらくするとガスマスクの下からは、犬の遠吠えのような声が響き出し、彼女らの身体が細かくブルブルガタガタと震え始めた。
「……?」
「あぁ……始まりましたわよ。取り付けられた淫具による、波状攻撃が……」
ウットリとしたように熱い吐息をはきながら、ナナさんが呟いた。
「あの淫具たちの最大の特徴は、実は相互リンク能力なのですわ」
「……相互リンク?」
「はい、今行われている生殺しモードが発動すると、淫具同士が情報を共有し、装着した牝がイクにイケないギリギリの状況を作り出し、責め続けるのですわ」
その言葉通り、彼女らは浣腸液の出すガス圧でパンパンに膨れ上がったお腹ごと、リグラーと巨大な尻尾付きアナル栓を呑み込んだ下半身を、切なげにクネクネと振り始めた。
そんな彼女らを、黒スーツの男たちは首輪の鎖を引くと、ゆっくりと歩き出した。
クラブの建物への移動を開始したのだろう。引き摺られるように歩き出した涼子さんらに続くように、他の参加メンバーらに首輪の鎖を引かれた女性たちが次々と続いていく。
「ただでさえ浣腸液で苛まれ、排泄したいのをアナル栓で押し留めらて、排泄欲で頭がいっぱいのはずですわ。そこに、あの仕打ちですものね……あの牝たちの心は、どこまで持つかしら」
男たちに連れられて行く涼子さん見つめながら、ナナさんは、どこか意地の悪い笑みを浮かべながら俺の耳元で囁いた。
(でも、俺は信じると約束したから……それに……)
そんなナナさんの言葉にも動じない俺の様子に、彼女はニッコリと微笑むとゆっくりと歩き出した。
「では、参りましょうか。淫宴のメインステージとなる淫獣たちの館へと……」
俺はしっかりと頷くと、涼子さんたちを追いかける様に、足を踏み出すのだった。
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