統制権:米国が連合軍司令部維持を提案した三つの理由

(1)北朝鮮の挑発には最善の手段

(2)韓半島の重要性高まる

(3)韓国軍の準備不足

(2)アジア太平洋重視の米国の新国防戦略

 米国が今年1月に発表した新国防戦略指針も米軍首脳の立場の変化に大きな影響を与えたとみられる。米軍は中国をけん制するため、アジア太平洋重視の戦略を取っているが、地政学的に中国けん制の足掛かりとなる韓半島(朝鮮半島)の戦略的価値がそれだけ高まった形だ。

 韓米連合司令部の元副司令官(予備役大将)は「戦時作戦統制権の移管と連合司令部の解体は、米国が韓半島から半分手を引くということだが、新国防戦略指針とは矛盾する。連合司令部の存続などを通じ、東アジアに前進配備された米軍の存在感を誇示し続ける必要があるとのムードが米軍内でできてきている」と指摘した。

 国策シンクタンクの専門家は「沖縄に駐留する海兵隊が縮小され、オーストラリアとフィリピンなどの戦略的重要性が高まったが、アジア太平洋で統合的に米国の安全保障利益に合致する役割を果たすのは、沖縄、グアム、韓半島しかない。アジア太平洋地域の米軍の指揮系統に大きな変化が起きる中、サーマン司令官が韓米連合司令部の存続という積極的なプランを示した可能性がある」と述べた。

(3)韓国軍の単独作戦に対する再評価

 戦時作戦統制権が韓国軍に移管されれば、韓国軍が主力、米軍は補助的役割を担う。しかし、韓米の軍当局者の間には、韓国軍の能力に対する懸念が一部存在するのが事実だ。

 連合司令部の存続は、戦時作戦統制権移管に伴う安全保障上の懸念に対する一種の緩衝的役割を果たすとみられる。また、北朝鮮の挑発に対する韓国軍の「過剰対応」への米軍の懸念を軽減できる側面もあるとされる。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者
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