統制権:米国が連合軍司令部維持を提案した三つの理由

(1)北朝鮮の挑発には最善の手段

(2)韓半島の重要性高まる

(3)韓国軍の準備不足

 韓米連合司令部などに勤務する韓国軍の将校らは最近、ジェームズ・サーマン韓米連合司令官(在韓米軍司令官)から驚くべき話を聞いた。

 サーマン司令官は「2015年12月に戦時作戦統制権が韓国軍に移管されるのに合わせて解体されることになっている韓米連合司令部を、解体せずに事実上存続させ、司令官に韓国軍の大将を充てるのはどうか」と語ったとされる。

 公式提案ではないが、米軍は他国の軍隊の指揮を受けたことはほとんどなく、06年の戦時作戦統制権移管交渉の際、韓国側が韓米連合司令部体制の維持、韓国軍からの司令官任命を提案したことに対し、米国側が強く反発したことを思えば、大きな変化といえる。米軍首脳部の態度が大きく変わった背景は何か。

(1)韓米連合司令部の解体によるリスク

 韓米の軍当局はこれまで、連合司令部が解体されたとしても、連合空軍司令部、同盟軍事協力団などの協力機関を通じ、共同作戦上の空白を埋めることができるとの立場だった。しかし、どんな協力機関ができたとしても、連合司令部ほど緊密な連携機能を果たすのは難しいとの懸念が少なくない。

 戦時作戦統制権の移管に備え、韓国軍の準備は既に70-80%進んだ段階だが、一部事業が遅れていることも懸念を増幅させている。有事の際の作戦権を韓国軍が単独で行使するためには、情報監視、精密爆撃能力が大幅に拡充されなければならないが、長距離、高高度無人偵察機「グローバルホーク」の導入が何年も遅れるなど、戦力強化事業が先延ばしとなっている。

 韓米連合司令部が予定通り3年半後に解体された場合、来年ごろから解体ムードが漂い始め、司令部自体が有名無実化する可能性が高く、安全保障が脆弱(ぜいじゃく)な時期に韓米による共同対応体制に問題が生じる可能性も指摘されてきた。昨年末に北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が急死し、北朝鮮の不確実性がさらに高まっている状況で、安全保障リスクをあえて冒す必要はないのではないかとの判断が、韓米軍当局の間で「以心伝心」の形で広がっている。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者
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