“剛腕”小沢、本当の病状…日本医科大学病院“厳戒”態勢

“剛腕”小沢、本当の病状…日本医科大学病院“厳戒”態勢
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20111007/plt1110071148002-n1.htm
ZAKZAK2011.10.07



初公判後の記者会見に臨む小沢氏。この6時間後に緊急入院した=6日午後5時半、衆院第2議員会館

 民主党の小沢一郎元代表(69)が6日深夜、腰痛などを訴えて東京都世田谷区の自宅から救急搬送され、永田町や霞が関は騒然となった。小沢氏の秘書は「命に別条はない。2、3日で退院すると思う」と説明している。一方で「自宅で吐いた」「胸を痛がったらしい」という情報も流れている。政治家は自らの病気を隠すのが一般的。陸山会事件の初公判で極度の緊張を強いられ、持病が悪化したのか。刑事被告人となった剛腕政治家の病状に注目が集まっている。

 「小沢氏が緊急入院した!」

 衝撃の第1報が伝わったのは日付が6日から7日に変わる直前。報道機関や政府与党の関係者は、小沢氏周辺や警察・消防当局への確認作業に追われた。

 小沢氏が救急搬送されたのは6日午後11時半ごろ。腰の左側に痛みを訴えて、和子夫人とみられる家族が救急車を呼んだ。小沢氏は歩いて救急車に乗り込み、救急隊員とも会話したとされる。救急車が向かったのは、小沢氏の主治医がいる日本医科大学付属病院(文京区千駄木)。病院前には、多くの報道陣が駆け付けた。




 この日、小沢氏は午前10時から陸山会事件の初公判に臨み、異例ともいえる8分間の意見陳述を含めて、約4時間も出廷。午後5時半からは、新聞記者に逆質問を浴びせる怒りの記者会見を行うなど、過密スケジュールをこなした。

 同6時半から、港区赤坂の中華料理店「四川飯店」で、小沢グループの側近議員数人と会食。この時点で「横っ腹が痛い。疲れた」と話していたという。同9時ごろ帰宅し、その後、体調が悪化した。

 裁判で長時間、硬い椅子に座っていた影響も考えられるが、政府・与党関係者からは「自宅で吐いた」「胸を痛がったらしい」「重篤ではないようだ」という情報も流れている。

 小沢邸には書生が住み込んでいるうえ、近くにある寮には免許証を持った秘書が複数待機している。このため、民主党ベテラン秘書は「政治家は政治生命を守るためにも、病気や病状を隠そうとするもの。政敵に足をすくわれかねないからだ。果たして、腰痛程度で救急車を呼ぶものか…。裁判や記者会見の心労から、心臓の持病が悪化したのではないか」と語る。

 政治家の病気といえば、故小渕恵三氏が首相在任中の2000年4月に脳梗塞を発症して緊急入院した際、首相臨時代理要請に関する秘密を守るためか、詳細な病状が伏せられたことがある。

 小沢氏には、自民党幹事長を退いた直後の1991年、その激務がたたってか狭心症を患い、1カ月以上にわたって入院した。この時も日本医科大学付属病院だった。

 その後は「一病息災」を心がけ、たばこはきっぱりと止め、食事のカロリー制限にも取り組み、好きなアルコールは「1日にビール1本、日本酒2合以内」と決め、昼食後の休憩なども守ってきた。

 それでも、2006年9月には、臨時党大会で党代表に再選された直後に体調を崩し検査入院し、健康不安説が再燃。08年10月にも、「風邪をこじらせてのどを痛めた」として1週間入院している。

 日本医科大学付属病院の担当医は7日午後、記者会見する。来週14日に陸山会裁判の第2回公判、年内には有罪判決を受けた元秘書らの証人尋問が行われる予定だが、日程が変更される可能性もある。

 先月26日に、元秘書3人に有罪判決が言い渡された後、小沢氏は相当落ち込んでいたという。供述証拠が不採用となっていたため、「無罪」を期待していたのだ。このため、自身の裁判の打ち合わせや、ごく近い身内との会食以外は「事実上、引きこもっていた」(小沢氏周辺)という。

 その後、岡本英子、笠原多見子両衆院議員ら「小沢ガールズ」の励ましなどもあり、いったんは元気を取り戻したが、やはり来年古希(70歳)を迎える小沢氏には、国民注視の裁判はこたえたのか。

 6日夕の記者会見で、小沢氏は「元秘書との共謀」「4億円の原資」といった裁判の焦点にはまともに答えず、「私自身、何らやましいこともないので、今後も頑張っていきたい」と語った。持病を抱えて、自らの潔白を証明することができるのか。

 新渡戸文化短大学長で医学博士の中原英臣氏は、「症状が本当に腰の痛みとおう吐だけなら、そうたいした病状ではない。(小沢氏は)心臓に持病があるものの、2つの症状だけで心臓病の悪化ととらえるのは医学的に無理がある。ただ、政治家のことなので何かを隠している可能性はある。多くの判断材料が集まる主治医の会見が注目される」とみている。