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2012年6月14日(木)付

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ミサイル車両―中国の輸出は許されぬ

弾道ミサイルを運搬・発射する大型特殊車両4両を、中国が北朝鮮に輸出していた。無法なミサイル開発を助ける行為であり、断じて許されない。輸出は、国連安全保障理事会の決議への[記事全文]

オスプレイ配備―沖縄への無理解改めよ

米軍の新型輸送機MV22オスプレイの沖縄配備に向け、野田政権が関係する県や市との調整に乗り出した。オスプレイは、4月にモロッコで墜落事故を起こした。その事故原因を配備前[記事全文]

ミサイル車両―中国の輸出は許されぬ

 弾道ミサイルを運搬・発射する大型特殊車両4両を、中国が北朝鮮に輸出していた。無法なミサイル開発を助ける行為であり、断じて許されない。

 輸出は、国連安全保障理事会の決議への明らかな違反だ。東アジアの安全を乱し、中国の国益も害するはずだ。

 中国が何より優先するのは、朝鮮半島の安定だ。北朝鮮が不安定になれば、国境を越えて大勢の人が逃げてくるだろう。金正恩(キム・ジョンウン)体制が崩壊すれば、中国より米国に親密な統一朝鮮が隣に出来るかもしれない。

 だからこそ、4月の北朝鮮の弾道ミサイル試射をめぐって、日本や米国、韓国に冷静な対応を求め、北朝鮮には自制を求めた。その後も核実験をしないよう強く働きかけている。

 ミサイルの脅威を高める車両の輸出は、自らのこうした努力に反するものだ。

 16輪の特殊車両は中国の軍に連なる企業がつくり、北朝鮮の軍事パレードで新しい大型の弾道ミサイルを積んで登場した。

 移動しての発射が実用化されれば、衛星による監視はこれまでよりはるかに難しくなる。

 北朝鮮への制裁は、2006年と09年の北朝鮮の核実験を受け、安保理で2度決議された。

 弾道ミサイル関連の物資などの取引が禁じられ、運搬車両も対象になっている。中国は「木材運搬用」と説明しているが、北朝鮮はそんなに巨木に恵まれているのか。

 安保理の常任理事国でもある中国は、制裁決議に賛成しながら、これまで消極的だった。

 安保理の専門家委員会が制裁の実施状況を監視しているが、北朝鮮から中国東北部の大連を経由して武器を輸出する違反ケースが数多く報告されている。

 過去には、ロケット推進燃料として使える物質が中国から輸出された。ほかの国がいくら厳しくのぞんでも、かぎを握る中国が真剣に取り組まなければ、制裁は抜け穴だらけになる。

 中国外務省は「大量破壊兵器の拡散に断固として反対し、決議も守っている」と違反を否定した。中国企業は決議に反する物品を輸出していないとも主張したが、受け入れがたい。

 実態をしっかり調べ、安保理に明らかにすることで、信頼回復と再発防止に努めるべきだ。

 一方、日本や米国は違法な輸出の証拠をつかみながら、核実験をしないよう北朝鮮に働きかけている中国に配慮し、非公式に話し合っただけで済ませた。

 この対応は疑問だ。見逃せば決議の意義が失われる。安保理でしっかりと議論すべきだ。

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オスプレイ配備―沖縄への無理解改めよ

 米軍の新型輸送機MV22オスプレイの沖縄配備に向け、野田政権が関係する県や市との調整に乗り出した。

 オスプレイは、4月にモロッコで墜落事故を起こした。その事故原因を配備前に公表するとしていた方針を転換しての配備に、沖縄県内では反発が広がっている。

 それにしても、この間の政府の姿勢は、沖縄への無理解が際立つ。

 日米両政府は当初、県民の反発をやわらげるため、沖縄への配備前に岩国基地(山口県)などに一時駐機して先行運用する案も検討した。だが、「地元の反発」を理由にこれを見送った経緯がある。

 本土の自治体が反対すれば、政府はすぐ諦める。その一方で、全県を挙げて反対する沖縄には、ためらいもなく押しつける――。

 沖縄県民がこう受けとめたとしても無理はあるまい。

 すでに沖縄県内の41市町村議会のうち、39議会がオスプレイ配備反対と計画撤回を求める意見書や決議を可決している。米軍普天間飛行場のある宜野湾市では17日に大規模な反対集会が予定されている。

 タカの一種、ミサゴを意味するオスプレイはヘリコプターのような上下動も、飛行機のような高速の水平飛行もできる。現在の輸送ヘリに比べ、速度は2倍、エンジン出力は3倍あり、航続距離は4倍に延びる。

 老朽化した輸送ヘリCH46よりはるかに性能が高く、海兵隊など駐留米軍の運用上も不可欠と米軍は説明する。

 だが、オスプレイは開発段階でも重大な墜落事故を何度も繰り返し、30人以上の兵士らが犠牲になっている。

 日米の安全保障体制はゆるがせにできない。一方で、沖縄に限らず、兵器の配備を喜んで受け入れようという自治体はない。そこにどう折り合いをつけていくか。

 今月就任した森本敏防衛相は航空自衛隊や外務省を経て研究者に転じた安全保障政策の専門家だ。だが、この問題は軍事的合理性や効率性だけでは決して割り切れるものではない。

 普天間問題についての鳩山元首相の一連の発言に始まり、沖縄防衛局長の女性蔑視発言など政権は沖縄の神経を逆なでし続けてきた。

 こんな状況下で持ち上がったオスプレイ問題だ。まずは沖縄を訪れて県民の声を真摯(しんし)に聞く。そして米側に伝え、もつれた糸をほぐす努力をするのも防衛相の仕事である。

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