何だかキャッチーな言葉を思いついたので書いてみます。
「トレンド」を一人ひとりに「tailor」したツイッター
昨日お伝えした通り、ツイッターがこれまではどのユーザーにも一律に表示していた「トレンド」を、誰をフォローしているかでカスタマイズ(パーソナライズ)する変更を加えました。
ツイッターの「トレンド」が重要な変更—誰をフォローするかで表示が変わる
これまで「日本全体でのトレンド」だったものが、「自分がフォローしている人の間でのトレンド」に変わるわけですね。これは大きな方針の変化だと思います。
一般的に使われている英単語ですが、この時ツイッターが使っているtailor(テイラー)という言葉が日本人的には面白いです。テイラーメイドのテイラーです。
情報をテイラーメイドで届けてくれる「Gunosy」
以前紹介したGunosyも、テイラーメイド・ウェブ時代の筆頭プレーヤーといえるでしょう。
Gunosyのアルゴリズムの詳細は分かりませんが、
・誰をフォローしているか
・Gunosyからどんなリンクをクリックしているか
というあたりを見ているように感じます。2点目の特性により、使えば使うほど、自分にぴったりフィットするようになっていきます。
実はGoogleも
あまり知られていない?ことかもしれませんが、Googleも一人ひとりに検索結果を最適化しています。
その危険性については、イーライ・パリザー氏がTEDで語っています。9分と短い動画なのでぜひ。
「Egypt」と検索すると、ある人はエジプトのデモの情報が並び、またある人は旅行に関する情報が並んでいた、という刺激的な話。
ワシントン・ポスト紙も
大々的ではありませんが、ワシントン・ポスト紙もFacebookログインを用いて、ニュースのテイラーメイド化を模索しています。こちらのページを閲覧すると、友だちがいいね!を押した記事や、友だちがサイト内で取ったアクションを知ることができます。
テイラーメイド化は不可避の流れ
Googleのエリック・シュミットは「全くカスタマイズ(tailor)されていないものを、人々が、見たり、消費するのは非常に難しくなるだろう」と語っています(動画04:03)。
コンテンツは今後も増加する一方で、本ブログを含め、メディアの世界でもコンテンツファーム型のサイトが多数登場してきています。
コンテンツが増加するこれからの時代、FacebookやTwitterのように「一人ひとりに届けられる情報が違う」サービスは、利便性の面で多くのユーザーに受け入れられていくでしょう。この流れは不可避だと思います。
将来的に、本ブログもFacebookログインを備えて、トップページの表示を最適化する形になるのかもしれません。恐らくそうなった時、PVや滞在時間は向上し、それに合わせて収益性も向上するでしょう。ユーザーにとっても、クリエイターにとっても、嬉しい仕組みになりえます。
テイラーメイド化の弊害
ただ、長期的に見てそれが悪影響を与える可能性があることも考慮しなくてはなりません。イーライ氏が指摘するように、テイラーメイド・ウェブには「見たいものばかりを見せてくれる」という弊害があることも間違いありません。
とはいえ、市場原理に則った動きなので、ほとんど全ての情報はテイラーメイドされていくのが未来の姿だと思います。テイラーメイド化によって得られるメリットは実際に大きく、本質的にデメリットも体感しにくい構造になっています。
マイケル・サンデルの議論に紐付ければ、利便性を購入する裏で、情報の中立性という「売ってはいけないもの」をやり取りしてしまっているのかもしれません。
皆さんはこれからのウェブについてどう考えますか?情報が個々人に最適化されることのメリットとデメリットについて、どう分析しますか?ぜひコメント欄やTwitter、Facebookで教えてください。
イーライ・パリサーの主張は本になっています。原題は「Filter Bubble」。
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