福島原発:県が内部被ばく検査中止要請…弘前大に昨年4月
毎日新聞 2012年06月14日 02時32分(最終更新 06月14日 02時38分)
ヨウ素131は甲状腺にたまりやすく、がんのリスクを高めるとされる一方、半減期は8日と短く、早期検査しなければ原発事故の影響を把握できない。床次教授は「放射線への不安が長引いているのは当時の情報がないからだ」と指摘する。
県地域医療課の担当者は「やりとりの詳細は記憶にない。弘前大以外にも県の災害対策本部として『住民の心情を察してほしい』とお願いしてきた」と説明する。だが、こうした要請の結果、事故初期段階でのヨウ素131の内部被ばく実測データはほとんど残されなかった。
62人の検査データは既に公表され、事故翌日の昨年3月12日にヨウ素を吸引したと仮定して内部被ばくの積算線量を推計したところ、5人が国際原子力機関の定めた甲状腺がんを防ぐヨウ素剤服用基準の50ミリシーベルトを超えていた。ただし現在は3月15日にヨウ素を吸引したとの見方が有力になっており、再解析が進められている。
甲状腺の内部被ばく検査を巡っては、国の原子力災害対策本部も3月下旬、飯舘村などの0〜15歳の計1080人に実施したが、これはヨウ素を直接測ることができない簡易式の検出器だった。【町田結子】