'12/6/14
オスプレイ岩国派遣「月2、3日」 米環境審査報告書に明記
防衛省は13日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ配備に向け、米側が作成した環境審査報告書を沖縄県に提出した。配備後、キャンプ富士(静岡県御殿場市)と米海兵隊岩国基地(岩国市)にも月2、3日間2〜6機が派遣され、低空飛行訓練のため国内各地に設定されている「航法経路」で訓練すると明記した。
航法経路は、青森―福島、青森―新潟、新潟―群馬―長野、和歌山―徳島―愛媛、九州北部の熊本・阿蘇山周回の5ルートに加え、沖縄本島北部から鹿児島・奄美大島を経由してトカラ列島に至るルートを利用する。
これらルートの運用は現状より約21%増加する見通し。訓練のうち28%は夕刻(午後7〜10時)に、4%は夜間(午後10時〜翌午前7時)に実施するとしており、騒音被害が増加する可能性もある。
航法経路は現在、主に岩国基地所属のFA18やAV8Bなど戦闘攻撃機が使用し、平均高度150メートルの低空飛行を実施している。報告書は、MV22が同様の飛行訓練を実施するとしている。
一方で報告書は「MV22の配備および運用の実施から、いかなる重大な環境問題も生じないことを確認した」としている。
政府は同日、静岡、山口両県にも報告書を提出するなどし、理解を求めた。両県は内容を精査して、慎重に対応する方針だ。森本敏防衛相は記者団に「丁寧に説明し、心配が増えないよう努力したい」と強調した。
沖縄県の又吉進知事公室長は、開発段階で事故が相次いだMV22に「県民が大変不安を抱いている」と指摘し、現状では配備に「基本的に反対」と強調した。
MV22は普天間に24機配備予定で、同数のCH46中型輸送ヘリコプターと交代する。報告書では、2台設置されるシミュレーターの多用などで、普天間での運用は現状より年間約2600回(11%)減少するとした。
これに伴い、沖縄県内での運用は、陸上空母離着陸訓練(FCLP)が行われる伊江島補助飛行場(伊江村)で増加する一方、沖縄本島中部に位置するキャンプ・ハンセンで減少するなど、全体で現状より約12%減となる見通しという。