コラム
窪田順生の時事日想:NHKが、火災ホテルを「ラブホテル」と報じない理由 (3/3)
[窪田順生,Business Media 誠]
震災直後、関東某所の避難所に、福島第一原発の作業員が妻と娘をつれて訪れた。彼は協力企業の人間からサーベイメーター(携帯用の放射線測定器)を奪うと、愛娘を調べ始める。すぐに針が振り切れ、ピーピーという大きな音。なだめる協力企業の人間から、「俺は毎日つかってっからわかんだ! やべえだろ、これ!」と怒鳴って取り乱す作業員。震災からまだ1週間ほどだったので、モニターを見て思わず息を呑んだ。
この映像はテレビ局幹部から「あまりにショッキングで、視聴者の恐怖心をいたずらに煽る恐れがある」としてボツになった。「報道の作法」に反するというわけだ。
放射線の人体への影響はいまだに議論があるが、あの時、福島第一原発の作業員がこのような形で避難し、恐怖を感じていたというのはまぎもれない「事実」だ。あれはやはり報じるべきではなかったか、と個人的には思う。
プライバシーや世論の反応を気にして言葉を選ぶのはいい。ただ、「報道」を名乗っているのだから、あまりに度を過ぎて事実から目を背けるというのは、逆に「道」を踏み外していることになるのではないか。
関連記事
なぜ“普通のオトコ”は、なかなか見つからないのか?
「彼女がほしいのに、なかなかできない」と悩んでいる男性も少なくないはず。会社の女性には声をかけにくいし、飲み会に参加してもなかなか結果がでない。そうした悩みに対し、恋愛マーケティングの専門家に話を聞いた。全3回でお送りする。借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由
国民年金、給食費、授業料、治療費……今、公的な支払いを踏み倒す人が増えている。この背景には、いったいどんな「裏」があるのだろうか?「従軍慰安婦」抗議からみえる、日本で起きるデモの未来(前編)
抗議デモを「参加者目線」でレポートしていく本連載。4回目は「従軍慰安婦」問題へ抗議する人々に密着する。テレビでは「右翼団体ら」と報じられた彼らの姿から、「日本の抗議デモ」の未来がみえてきた。
Copyright© 2012 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special