賛否渦巻くAKBビジネスに“熱視線” NMBなど姉妹グループ次々
産経新聞 6月5日(火)11時34分配信
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秋元康さん(中央)とAKB48のメンバー(写真:産経新聞) |
アイドルグループ「AKB48」の27枚目のシングル曲を歌う16人をファン投票で決める「選抜総選挙」の開票が6日に迫り、世間の注目を集めている。新譜を出せばミリオンセラーを連発し、今や「社会現象」にもなったAKB48。CDに投票権をつける商法に賛否もあるが、アイドルカルチャーとしてだけではなく、ビジネスモデルにも熱い視線が注がれている。
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「絶対的エース」と言われた前田敦子さんが不在の中で行われる第4回総選挙。投票権が付いた「真夏のSounds good!」は、シングルの初日売り上げとしては歴代最高の117万1千枚(オリコン調べ)を記録。開票の模様はフジテレビでも生中継されるなど、異常な盛り上がりをみせている。
AKB48リーダーの高橋みなみさんは「応援してくれる人たちとともに成長し、自分の夢をかなえるのがAKBのコンセプト。同じ1期生として離れたくないとの思いは強いけど、あっちゃんの気持ちは尊重したい」と話す。
シングル購入者には投票だけでなく、握手券の「特典」がつくとあって、1千枚以上購入した一部のファンがCDを開封する様子を動画サイトでアップし、「音楽よりおまけが大事」などとファン同士で炎上する騒ぎが勃発(ぼっぱつ)。業界に詳しい音楽評論家も「いい曲が必ずしも売れる時代ではなくなった」と批判的な見方を示す。
ただ、「会いに行けるアイドル」をコンセプトにしたAKB48の戦略は、超売れっ子になった今でも専用劇場などで握手会を絶やさず、ファンとの「距離感」や「生の触れ合い」を重視する。
そして、ファンにとっても、選抜チームやセンターポジションの座をめぐって切磋琢磨し、ゲーム感覚で“推しメン”(イチ押しメンバーの略)を応援できる巧みな仕掛けが用意されており、「バーチャル」と「リアル」をうまく融合させた点でも成功した。
アイドルカルチャー系情報誌「BUBKA」編集長、森田秀一さんは「いまどき千円そこらのCD買って、トップアイドルと握手できるなんてあり得ない。全盛期の『モーニング娘。』なら、ファンは数十万円も払って海外ツアーに行くしかなかった。『この値段でこの品質』という意味では、AKBはユニクロの商法に類似している」と指摘する。
SKE48(名古屋)やNMB48(大阪)などの姉妹グループを次々と誕生させ、グループ全体の底上げにも成功したAKB。海外進出を果たし、国や企業をも巻き込んだビジネスモデルにも注目が集まる。
「デフレ時代にマッチした手法」と表現したのは、「AKB48の経済学」の著書がある上武大の田中秀臣教授。「劇場の入場料を極力安くし、移り気なテレビ視聴者ではなく、コアなファンに特化した。宝塚歌劇団ともシステムが酷似しており、息の長いアイドルビジネスになるかもしれません」と話している。
最終更新:6月5日(火)11時34分