絵描き小僧展
2012、5、9
東京オペラシティアートギャラリーは、ぜいたくな入れ物のようでいて実はそうでもなかったぞ、というお話。
西新宿の京王線初台駅というのが、新宿駅に近すぎるせいで、忘れられた駅のような印象で行き着くのに難義する。今さら言ってもなんだけど地下は何事も見えにくくなるよね。コソコソ隠れてるんじゃないよ、と言いたくなる。初台駅は用事がなかったなぁ。初めてだ。さらにアートギャラリーを捜し当てるまで、味けない地下通路、広場、通路の連続で、アクセスやアプローチに何らかの設計ミスが働いているのではないかと悪印象を持ってしまった。全体がコンクリートでガチガチに固められた仮設のようだ。好意的に取れば、色の付かないただの空間を意図し演出した、ということなんだろう。
私なんかに営業妨害する力は無いからいってしまうけど、そもそもオペラなんて要らないよねぇ。なんか恥ずかしくないか。オペラシティは渋谷の文化村に対抗して造った施設なの?アッチも相当落着きが悪いけど。
ビートたけし北野武にはデビュー時からずっと変わらぬ楽しみをもらっている。同時代に居てくれてアリガトウと言いたいお一人だ。TV、本、映画など気がつく限り追っかけている。思いっきりくだらないギャグから明せきな頭脳までの振り幅、テレ隠しにやってしまうパンツ脱ぎ、出版社への殴り込み、女に会いに行く途中で死にかけた事故、終わりかけているヨーロッパでしか受けない映画、どれも面白い。何がって、男の照れや迷いや揺れや辛くも支えた意地が、ほの見えて、というよりハッキリ見えて、ガキ的要素が結実していて、美しく楽しく羨ましく思える。自分を小僧と規定する所が素晴らしい。なにより優れているのはバランス感覚だ。
絵描き小僧展では平面、立体、工学的オブジェ、コント映像、版画とアイディアの打ち上げ花火のようにパッパッと軽妙さで満載だ。盛り沢山だから、それぞれの造形力、結晶力不足は否めない。遊び心、で止まっているのが残念。ふっと頭をよぎったのは、やっぱり、何でもできるは何にもできない、ではないのか、それを露見させてしまっている作品群ではないか、ということだ。ビートたけし北野武が一番知っているのもそこではないだろうか。
交通事故は何年前だったろう。壊れた顔を公表した快挙。タケシの最高傑作はあの顔ではなかったか。それと一昨年だったか、笑福亭鶴瓶との番組でやった落語のさわり、寝ころんで見ていたのだけど、思わず正座し直して聴き入ってしまった。
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