福島第一原発事故が起きる前の2006年、東京電力が巨大津波に襲われた際の被害想定や対策費を見積もっていたことが、朝日新聞が入手した東電の内部資料でわかった。20メートルの津波から施設を守るには「防潮壁建設に80億円」などと試算していた。
津波対策をめぐっては、04年のスマトラ島沖大津波を受けて06年、国が東電に対策の検討を要請したほか、08年には東電が福島第一原発で最大15.7メートルに達すると試算したが、いずれも対策はとられなかった。早期に実施された試算はことごとく生かされず、事故を回避する機会は失われた。
資料は、原子力技術・品質安全部設備設計グループ(当時)で05年12月から06年3月の間に行われた社内研修の一環で作られた。