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【サッカー】

本田 豪より強い アウェーのドローで確信

2012年6月13日 紙面から

◇W杯アジア最終予選 日本1−1オーストラリア (12日・ブリスべーン)

 【ブリスベーン(オーストラリア)松岡祐司】2014年ワールドカップ(W杯)ブラジル大会アジア最終予選B組の日本は12日、ブリスベーンでオーストラリアと対戦し、激闘の末に1−1で引き分けた。同組最大のライバルから敵地で勝ち点1を挙げた日本は、2勝1分けの勝ち点7で単独首位をキープした。日本は後半20分、MF本田圭佑(26)の右クロスから、DF栗原勇蔵(28)のゴールで先制。しかし、その5分後にDF内田の反則で与えたPKで追い付かれた。日本は9月11日の第4戦でイラクとホームで対戦する。 

 1−1で迎えた後半ロスタイムの3分すぎに、相手ゴール前の中央右寄りで得たFK。本田がキック動作に入る寸前、非情の笛でまさかの終幕となった。「?」「!」−。本田は仁王立ちのまま、目を大きく見開いた。ベンチからはザック監督やスタッフ、控え選手が一斉に飛び出し、本田も両腕を大きく開き、不満を体で示した。

 しかし、その30分後、取材エリアに現れた表情はどこか穏やかだった。

 「僕らの方がいいサッカーをしていた。引き分けになってしまったけど、豪州の選手もいい(ピッチ)環境だったらどうなるか、というのは何となく想像できたんじゃないかな。それで何も感じてなかったらアホか、秘策があるのか、どっちかだと思うんですけどね」

 高さで押し込まれ、凸凹ピッチにばたつきながらも、研ぎ澄ましたパススタイルを貫いた。だからこそ、並べた言葉は“負け惜しみ”ではなく、肌に刻んだ本音だった。

 待望した先制弾は、やはり背番号「4」から。後半20分の右CK。キッカーの本田は長谷部とパス交換してゴールエリア右まで進入した。さらに、DF1人をかわしてライン深くまでえぐり、グラウンダーのラストパス。栗原は押し込むだけだった。「ビデオ分析でショートコーナーを相手が嫌がることは知っていた」。会心の演出だった。

 ホーム2戦に快勝、大勝で迎えたライバル決戦。「日本にとって新しい挑戦」「意味のある試合」。そう言って、本田は緊迫感をあえて高めた。豪州はやはり豪州。されど、敵地であっても、倒さなければ世界では戦えない−。それは、本田自身を奮い立たせる手法と同じだった。

 昨年8月末、右膝に重傷を負った際、「うれしい誤算」とプラスに転化した。「俺は、足は速くなると思っている」と専属コーチを雇い、初動から一気に加速する練習を積み重ねると、鈍足だった男が速さを身につけた。どんな状況も進化の糧、無駄にするつもりはなかった。だから、悔しくないはずがない。

 「点を取るためにはもう1つアイデア、サプライズみたいなプレーがあれば。それがちょっと足りへんかったかな」

 最終予選3戦で勝ち点7。そこに悲観も楽観も、ない。 (松岡祐司)

 

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