僕らは最初から国なんてあてにせずに、自分たちの病気は自分たちでなんとかするってやってきたからね。そもそも俺は国から援助されるのがあんまり好きじゃない。援助されたら国からの指示や思惑にダルクの活動が左右される危険性があるでしょ。経済的には苦しかったけど自由にやれたから、国に頼らなくてよかったと心底思ってる。
だからこの間の国会に参考人として呼ばれたときにもこう言ったんだよ。「ほんとにあなたがたに援助されないで助かりました。援助されてたらどうなっていたかわかりません」って(笑)。
でも現実問題として、昔も今も経済的に苦しいのは間違いないよ。開設当初の「ダルクにつながってくるすべての人を受け入れる」というモットーは今も崩してないから。
ダルクの入寮費は月に16万。内訳は、毎日入寮者に2500円を生活費として渡してて、あとは家賃とプログラム料。だから月に16万もらってもスタッフひとり雇えない。入寮者が10人いてやっとスタッフひとり雇えるくらいだね。
入寮者のほとんどは生活保護から入寮費を払ってる。最近は刑務所で刑期を終えて来る人たちが多くなってるんだけど、この人たちはお金も住む家も何もないわけ。だから役所に連れてって生活保護の申請をしたりもしてるんだよ。ほんとはそんなのは国がやればいいんだけどさ(笑)。中には露骨にいやな顔をするケースワーカーもいるんだよ。
でも中には生活保護が受けられない人もいる。これまではそういう人たちも受け入れてきたんだけど、もうそろそろ限界だね。昔はロイさんがメリノール宣教会に支援を頼んだり、スポンサー活動をしてお金を集めてきてくれてたから、お金が払えない人でも受け入れてこられたんだけど、今はロイさんが死んじゃってお金を集めてくれる人がいないからね。
でも、だからって完全に見捨てるようなことはしないよ。ウチが見捨てたら他に行くところがないような人ばっかりだからね。東京のダルクでどうしても受け入れが難しい場合は、他のダルクを紹介したりする。全国に50くらいダルクはあるから、どこかには引っかかるよ。 |