厚生労働省は12日、印刷会社で働く人の胆管がんの発生状況について、全国約500事業所の調査をすると発表した。大阪府の印刷会社で、元従業員4人が胆管がんで死亡。洗浄剤の中の化学物質が原因となった可能性が指摘されている。さらに東京と宮城でも、似た事例の相談があったため調査に踏み切る。
熊谷信二・産業医科大准教授(労働環境学)らのグループの調査で、大阪府の印刷会社で1991〜03年に働いた男性33人のうち、当時25〜45歳の5人が胆管がんになり、4人が亡くなったことが明らかになった。遺族らは3月に労災の認定を申請した。
グループは、この会社の発症率が日本人男性の平均の約600倍になると指摘。校正印刷で使う洗浄剤に含まれる化学物質「1、2ジクロロプロパン」「ジクロロメタン」が原因の可能性が高いと分析している。どちらも動物実験で肝臓にがんを発生させる確率が高いことが分かっているが、常温で気化しやすい。