福井県の西川知事は12日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の判断に向け、同原発を視察した。県原子力安全専門委員会の報告書に基づき、電源確保や冷却機能維持のための安全対策を確認し「報告書に沿った対応はできている」と評価した。
東京電力福島第1原発事故後、知事の大飯原発視察は初めて。県専門委は11日、福島の事故を教訓とする地震、津波に対して安全は確保できるとの報告書を知事に提出していた。
知事は視察後、県会の議論や町長の意見を聞くほか、報告書の内容や視察結果をあらためて精査して判断する意向を示した。「電力事業者にも言わないといけないことがあるかもしれない。整理した上で対応したい」とも述べ、再稼働に同意する前にソフト対策などの強化を関電に要望する考えをあらためて示した。
視察で知事は、地震、津波による全電源喪失に備えた電源確保や炉心冷却機能の確保対策を中心とする18カ所を回った。県専門委の中川英之委員長も同行した。
3号機の原子炉補助建屋の背部では、斜面沿いにあった空冷式非常用発電装置2台のうち、落石を避けるため1台を建屋脇に分散配置した状況を見学。所員のケーブル接続訓練が行われ、緊急時の作業内容を確かめた。
すべての非常用炉心冷却装置が使用できない場合に備え、県専門委の指摘で手順を整備した炉心に直接注水する系統を現場で確認。3号機の原子炉格納容器内では、フィルター付きベント装置の設置計画などを聞いた。
2015年度に免震事務棟が設置されるまで代替機能を担う指揮所も訪れ、放射性物質の防護措置や耐震性を確認した。視察後、知事は「基本的な条件は(確保)できているから、必要な対応はできるのかと思う」と述べる一方、事務棟設置を急ぐ必要があるとした。