憂楽帳:総選挙
毎日新聞 2012年06月12日 大阪夕刊
新聞社が総力を傾けるのは、選挙と五輪報道だ。時間と人をかけて、周到な準備をする。私もかつて担当に選ばれ、苦労したものだ。
ところで、私の今の日常の担当は主に社会面。限られたスペースに何を掲載するのか判断が問われる。侮れないのが芸能ニュース。「俳優の○さん結婚」「女優の○さんが出産」。読者の関心は高い。精通しているとは言い難い分野なので、若い部員の反応を参考にすることもある。
昨年の6月9日、AKB48の「総選挙」が行われた。社会面の片隅に小さく載せようとすると、1面のデスクから「この扱いでは不十分」と指摘が。隣の部員を見ると、同感だとばかりにうなずいた。うーん。慌てて写真も添えて目立つ扱いにした。翌日、全国紙を見比べると、どこも大きく掲載している。彼女たちの勢いを、遅ればせながら実感した。
そして今年の「開票日」。テレビをつけると、大騒ぎしている。以前のトップが返り咲いたらしい。涙を流すアイドルを見ながら、ふと国政選挙のことが頭をよぎった。次はいつなのか。ロンドン五輪と重なったら大変だ。【中川正規】