NTTレゾナントの社内ベンチャーイベント「Challengers 2012 Spring」に参加してきました。サービス企画が15案(うち5案は前回の受賞者)発表されたので情報共有です。
Challengersとは?—社外メンバーも企画に参加
ChallengersはNTTレゾナントが実施する社内ベンチャー施策。今回で第二回になります。
なんですが、実際に生まれている企画は、NTTレゾナント以外のメンバーも巻き込んだものが大半。組織の枠を超えたコラボレーションが前提になっているため、社内ベンチャーというよりスタートアップ企画コンテストに近いですね。
パネルディスカッション
パネルではTechCrunchの西田編集長、Bダッシュ・ベンチャーズの渡辺さん、毎ネット・ジャパンの上原さん、NTTインベストメント・パートナーズの森下さん、NTTレゾナントの鈴木さんの5名で行われました。
テーマは「NTTグループとベンチャー企業との協業発展の可能性」というもの。上原さんが「協業発展って言葉自体がカタい!」とバッサリ笑
本セッションの名言は上原さんの「ここにたくさんNTTの人がいるけど、みんな会社出ればいいんじゃないか。そうすればベンチャーとの協業は進む。今がんじがらめだと思うけど、外は気持ちいい。スタートアップからしても、NTTの人は実務能力が高いので、いっそ採用してしまっても良いのではないか」という発言。
会場は笑いに沸いたご意見ですが、これ本質的ですよね。協業発展を進めるには流動性を高めるのが一番手っ取り早そう。
他にも上原さんは「協業とか言う前に、とりあえずベンチャーの人とawabarで飲めば良いんですよ」という発言をなさっていたり、良い感じに飛ばしておりました。
PetaPon
財布を分厚くするポイントカードの悩みを解決するサービス。スマホでチェックインするとQRコードが表示され、店頭の端末にかざすとスタンプを獲得。半年間で実証実験100店舗を目指すとのこと。既に3店舗の導入が決定、90店舗と交渉中。
like! camera
Facebookに集まる「いいね!」のの数を1.5倍にするカメラアプリ。要するにInstagram的なフィルターアプリですね。切り口が面白い笑
おれのそうび
気軽に自分が使っているガジェットを紹介できるabout.me的なサービス。UIは昔のゲームをイメージ。日本的ですね!コアなファンに使い続けてもらえそう。
HOT MEET
Facebookの友だちの中で、気になるあの子と会いたいタイミングがマッチングした時だけ教えてくれるFacebookアプリ。会いたい人を選択し、会える日程を登録(相手に通知はされない)。会いたい相手も自分を登録してくれていたら、マッチングしたことが通知されるという仕組み。
シネマッチ
映画を一緒に観る人を見つけることができる「匿名」のマッチングサービス。匿名であることは、積極性が低い人への配慮とのこと。
「超」草食系ソーシャルマッチングサービスとのことで、実際に顔を合わせずに、一緒に映画を観る会もできます笑 同じ映画館で観るという状況を楽しむという高度な楽しみ方。
Internet Object
「遠隔地にある物体を目の前に再現すること」をビジョンにするサービス。プロトタイプでは、立体データを加速度センサーが付いた紙製のオブジェクトに投影する形をとります。これは面白いUI技術。
Qwar!
チャームポイントを教えてくれる、自己承認欲求を満たしてくれるアプリ。目、鼻、顔、髪型など、異性のチャーミングポイントを登録。フィードを見ると、他人が知っている自分のチャーミングポイントが表示される。
Kanade
音楽好きのためのセッション相手マッチングサービス。離れた場所で同時に演奏することができる低遅延技術はあるが、演奏する相手がみつからない。NTT西日本が開発した低遅延技術とスマホアプリを組み合わせて、気軽にセッションすることができるとのこと。
Words You Met
自分のお気に入りの言葉を友だちに贈ることができるサービス。気に入った名言・表現を自分のために溜めておくサービスとしても使えそう。
ロケラン
近くのレストランなどを位置情報ベースでランキング表示することができるアプリ。「行きたい」登録をする機能もあり。ちょっとRettyっぽいですね。データはNightleyのT-Rexaを利用するとのこと。
*現在投票中なので、優秀賞が発表され次第追記します。
雑感—学生スタートアップとの差別化は?
個人的には全てのサービスがコンシューマー向けに寄っていたのが意外。NTTグループということなので、もう少しB2B寄りのものが多いと思ったのですが、純粋にB向けのものはありませんでした(店舗向けサービスでもあるペタポン、ロケランはB向けの色合いが強いですね)。
最近のスタートアップの流れをみていると、学生を中心とした10代後半〜20代前半の人々の開発力・企画力が非常に高くなっていることを実感します。C向け製品は若い方がセンス良かったりしますし、何より時間も熱意も強烈にあります。
一方、一般的にそうした若手はB向けのニーズは掴むことに長けていません。例えば「大企業のマーケティング担当者が心底喜ぶ分析ツール」を、マーケティングの実地経験がない人がつくるのは難しいでしょう。
その意味で、ビジネスパーソンが集まるChallengersにB向けのサービスがなかったのはちょっと意外でした。個人的には次回以降に期待したいところ(あえてC向けに絞っているのかもしれませんが)。
個人的に印象に残ったのは「Internet Object」。こういう技術寄りのサービスはなかなか若手スタートアップからは出てこないでしょう。
また、NTTの技術と組み合わせた「Kanade」も本プログラムの良さが出ているサービスだと感じました。ハードウェアが絡むものは、なかなか真似するのが難しいです。
大企業スタートアップの強み・弱み
まとめると、大企業がスタートアップに取り組む上での強みは、
・B2Bニーズの把握
・技術力
・資本力
・アライアンスなど、既存アセットの活用
というあたりで、弱みは
・C向けニーズの把握(若手の方がセンスがある、という前提ですが)
・スピード感が遅くなりがち
といった点にあるのではないでしょうか。また、スピード感のあたりはマネジメント方法で解決できるはずです(NTTレゾナントは権限委譲の度合いが強く、スピード感もあるように感じました)。
大企業を巻き込んで、スタートアップムーブメントが大きくなっていけば素敵ですね。第三回のChallengersの動向も追っていきたいと思います。