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【福井発】「政府が決定」知事貫く 大飯安全性 県専門委確認2012年6月12日
他原発再稼働へ下地報告時期うかがう関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働をめぐり、西川一誠知事は週内に地元同意を判断する公算が大きい。県原子力安全専門委員会が十一日、安全性を認める報告書を出したためだ。枝野幸男経済産業相に判断を要請され、約二カ月。この間、知事は専門委の動きを巧みに操りながら、判断の時機を計っていた。=<1>面参照 (梅野光春) ■水面下専門委は原子力工学などの学識経験者で構成され、独立した立場で県に助言する。だが日程は、県原子力安全対策課が調整する。 知事は再稼働の同意を「専門委の報告書を見て判断する」と述べてきた。逆に言うと、報告書が出れば判断を迫られる。専門委は五月八日に報告書のまとめに入ったが、作業はなかなか終わらない。停滞の背景にはエネルギー政策上、原発の意義を明らかにするよう政府に求める知事の意向が影響していた。 六月八日夕、野田佳彦首相が会見で「国民生活を守るために再稼働すべきだ」と明言する約一時間前。副知事や県議会議長、原発担当幹部らが県議会棟の一室に集まり、十日に専門委を開いて報告書をまとめ、十四日をめどに知事と県議会の協議を終える日程を水面下で調整していた。 ■いら立ちいつになるか分からない地元同意に、周囲はいら立ちを募らせていた。ある県議は今月初め「要請から二カ月になる。知事は、原発関連で暮らす人たちの事情を分かっているのか」と非難した。一方で藤村修官房長官は「既に首相の姿勢は示している」と繰り返し、状況は打開されない。 このころ永田町では「水面下で、同意の意思はとうに伝わっている。知事は何を求めているのか」とうわさされた。二〇〇三年、知事は高速増殖原型炉「もんじゅ」(敦賀市)の運転再開問題で経済産業省を訪ね、その場で北陸新幹線の福井県への延伸を要望したこともある。 だが、別の県議は「今回は知事の原子力政策のベースにかかわる問題。新幹線などの単体の話ではない」と話す。県内の商業用原発を再稼働する下地づくりをしたとみる。 ■原則論四月十四日、枝野幸男経産相は西川知事の前で「原発は重要な電源」と持ち上げた。だが三日後、東京での記者会見で「今後の基幹電源ではない」と態度を変えた。知事は、再稼働を進めつつ脱原発依存を掲げる政府に不信感をもっていたが、メンツをつぶされた格好になった。 知事の考えは、エネルギー政策は政府が決める、という原則論に支えられている。だから、政府が方針を明瞭にしないのはおかしいし、国策優先なら電力消費地の意見は取り上げる必要はない、という立場をとった。 結局、知事は専門委の報告時期を操りつつ、野田首相から原発再稼働に向けた強い姿勢を引き出した。おかげで同意した場合の、福井県への批判は弱まる可能性が高まった。 県幹部は「福井県は東日本大震災後も、原子力は必要と政府に訴えてきた。だが政府が再稼働に向けて動きだしたのは昨秋。それが遅かった」と話し、結論の時期よりも、政府のスタート遅れを批判した。 PR情報
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