県原子力安全専門委員会後、記者の質問に答える中川英之委員長(右)=県庁で
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関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働をめぐり、県原子力安全専門委員会は十一日、安全性を確認できたとする報告書を西川一誠知事に提出した。十日の委員会終了後、県庁で会見した中川英之委員長は、これまでの審議や今後の見通しなどを語った。
−ようやく報告書がまとまったが、再稼働しても安全なのか。
「われわれの役目は異常事態が生じた際、プラントを正常に戻せるハード、ソフト面の対策を確認することであり、再稼働の判断ではない。四月以降、国が出した暫定的な安全基準の妥当性を検証し、3、4号機の工学的な安全が担保されているかを確認した」
−委員会が政治判断の手続きに組み込まれ、独立性が損なわれているのでは。
「首相が決意表明したからといって、原子炉が安全になるわけではない。3、4号機の安全性は、客観的な事実を積み上げて検証してきた。野田首相の発言が、委員会の議論に影響を及ぼしたことはない」
「防災は非常に重要な問題。ただ、福井はこれまで何もやっていないわけではない。五キロ圏での避難訓練や、原子炉の過酷事故に対する防災訓練は毎年行ってきた。今後も県などが中心となって続けていくべきだ」
−十日の委員会は、傍聴者がいない中での開催だった。
「委員会が開けないような状況を傍聴者がつくってしまうのは残念。今回のようなことが繰り返されると、結果的に透明性を封じてしまうことになる。公開で論議し、いろいろな批判や意見に対応していくことが重要。委員会を公開していくことに変わりはない」
「工学的な安全性は、われわれが検証する責任がある。政府の基準は大飯に限ったものではない。立地など、大飯とどこが違うのかがはっきりすれば、安全性の判断に時間はかからないだろう」
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