引き渡しが済んだ後、トラブルがあって

彼が家に来た。

どうせ会えなくなるなら一緒。

想いを伝えてみてから。。。

帰り際、勇気を出して言ってみた。

「キクチさんに会えなくなると思ったら悲しくて

　夜も眠れなくて…。

　ひさかたぶりの恋をしてしまったみたいなんですけど」

彼は顔色も変えず、

「まだ他の工事もありますから。　

　これきりというわけではありませんよ。

　いやでもちょくちょく打ち合わせでお目にかかります」

大人の対応。。。

上手にかわされちゃった。

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のちのち聞いてみると、

お客さんをそういう対象で見たことはないし、

私の冗談だと思っていたって。

私、すごくドキドキして決死の覚悟で言ったのに

はじまりはもう2年も前になるけど…

彼は私の家の担当営業マンだった。

打ち合わせを重ねるたびに人柄や笑顔に惹かれていった。

だけど、それはただの憧れみたいな淡い感情だったし、

まさかこんなことになるとは思いもしなかった。

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新居の引き渡しが済んだ夜、

「もう会えなくなるの？？？

　会えないなんてイヤ」

胸がざわついて眠れなかった。

この恋にはじめて気づいた夜だった。