野田首相“大飯原発再起動すべき”6月8日 18時42分
野田総理大臣は記者会見し、関西電力大飯原子力発電所について、「国民の生活を守るために大飯発電所を再起動すべきというのが私の判断だ」と述べたうえで、速やかな運転再開に向けて福井県やおおい町の理解を求めました。
関西電力大飯原子力発電所を巡って、福井県の西川知事は、先に細野原発事故担当大臣に対し、「総理大臣が国民に直接訴えることが国民の安心につながる」と述べ、野田総理大臣が運転再開の必要性を直接、国民に訴えるよう求めました。
これを受けて野田総理大臣は8日夜、記者会見しました。
この中で野田総理大臣は、「夏場の電力需要のピークが近づき、結論を出さなければいけない時期が迫りつつある。国民生活を守ることが、国論を二分している問題に対してよって立つ、唯一絶対の判断の基軸であり、国として果たさなければならない最大の責務と信じている」と述べました。
そして、野田総理大臣は、「次代を担う子どもたちのためにも、福島のような事故は決して起こさない。福島を襲った地震や津波が起こっても、事故を防止できる対策や体制は整っており、これまでの知見を最大限生かして、もし万が一、すべての電源が失われるような事態になっても炉心損傷に至らないことが確認されている」と述べ、安全性を強調しました。
一方で、野田総理大臣は、「原子力発電を今、止めてしまっては、また、止めたままでは、日本の社会は立ち行かない。関西での15%の需給ギャップは、去年の東日本大震災でも経験し、厳しいハードルだ。突発的な停電が起きれば、命の危険にさらされたり、仕事が成り立たなくなる人、また、働く場がなくなる人も出てくる」と述べ、運転再開の必要性を訴えました。
そして野田総理大臣は、「電力需給だけの問題ではない。化石燃料の依存を増やし価格が高騰すれば、ギリギリの経営を行っている小売店や中小企業や家庭にも影響する。空洞化を加速し、雇用の場が失われる。夏場限定の再稼働では国民の生活は守れない」と述べました。
そのうえで野田総理大臣は、「関西を支えてきたのが福井県であり、おおい町だ。40年以上にわたり原子力発電に向き合い、電力消費地に電力供給を続けてきたことに敬意と感謝の念を新たにしなければならない」と述べました。
そして野田総理大臣は、「国民の生活を守るために大飯発電所を再起動すべきというのが私の判断だ。そのうえで立地自治体の理解を改めてお願いしたい。理解いただいたところで再起動のプロセスを進めたい」と述べ、速やかな運転再開に向けて、福井県とおおい町に理解を求めました。
野田総理大臣の記者会見などを受けて、西川知事は、来週にも運転再開について判断するものとみられます。
“運転再開”への手続きは
野田総理大臣の会見を受け、関西電力大飯原子力発電所の運転再開に向けて、今後は福井県側での手続きが進みます。
まず、原発の安全性を独自に検証している福井県の専門家の委員会が10日にも開かれ、最終的な議論を行います。
委員会の検証結果がまとまれば、大飯原発の立地するおおい町の時岡忍町長が、町としての判断を決めるほか、福井県の県議会も各会派ごとに意見をまとめて、西川知事に伝える予定です。
そして、西川知事が運転再開に同意した場合、政府は改めて関係閣僚による会議を開き、大飯原発の運転再開を最終的に判断します。
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