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SPEEDI 非公表は問題

文部科学省が福島第一原子力発電所の事故対応を検証した報告書をまとめ、事故の直後に原発の北西部に職員を派遣し、高い放射線量を測定したのはSPEEDIという放射性物質の拡散予測をもとに調査地点を選んだ結果だったことがわかりました。
専門家は、SPEEDIの予測が実際の放射線量に結びつくことに早くから気づいていたにもかかわらず、データを直ちに公表しなかったのは大きな問題だと指摘しています。
福島第一原発の事故を受けて、文部科学省は所管するSPEEDIなどの対応について検証していて、NHKはその報告書の案を入手しました。この中で文部科学省は、全体的な対応について「内外におけるコミュニケーションで不十分な面があった」と対応の不備を認めています。
このうち、原発から最も多くの放射性物質が放出された去年3月15日の対応について文部科学省は、原発から北西およそ20キロの浪江町に職員を派遣し、午後9時前に最大で1時間あたり330マイクロシーベルトの高い放射線量を測定したとしています。
その上で、この調査地点は15日夕方のSPEEDIの予測をもとに選んだことを明らかにしています。
測定結果は官邸に報告するとともに報道機関に資料を配付し、インターネットで公開したものの、現地の対策本部には報告せず、自治体にも伝わらなかったとして「関係機関との連携に反省すべき点が見られた」と記しています。
しかし、当時、文部科学省は調査地点をSPEEDIの予測をもとに選んだことや測定した放射線量の評価について説明しておらず、こうした点は検証されていません。また、SPEEDIのデータについては事故直後から報道機関に公表を求められていたにも関わらず、試算データの一部を除いて4月25日まで公表されませんでした。これについて事故の後、関係機関で繰り返し協議したものの、「関係者は、予測は現実をシミュレーションしたものとは言い難いと認識しており、当時の状況では適当であった」としています。
原発事故を検証した民間の事故調査委員会の北澤宏一委員長は「予測が実際の放射線量に結びつくことがわかった段階で、直ちに公表し住民の被ばくを深刻なものにさせないよう努力するべきだ。SPEEDIをどうすれば生かせたのか住民の立場からの検証が決定的に欠けている」と指摘しています。文部科学省の報告書の案について、事故のあと、放射線量が高い地域に多くの住民が避難した浪江町の馬場有町長は「SPEEDIはあくまで予測だと説明してきた文部科学省が、当時、SPEEDIに基づいて実際に町で放射線量の測定をしていたとは驚きだ。」と述べました。
また「当時、我々は避難を自主的に判断せざるを得ず、原発から遠くに離れようとした結果、不要な被ばくを招いてしまった。住民の安全を守るべき国が出すべき情報を出さずに、その責任を果たさなかったのは非常に悔しいし残念だ」と話しています。
これについて文部科学省は「今の時点ではコメントできない」としています。

06月11日 19時38分

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