福井・大飯原発:福井県専門委、傍聴席混乱で非公開に
毎日新聞 2012年06月11日 大阪夕刊
福井県原子力安全専門委員会は、大飯原発3、4号機に対する国の「安全性確認」を追認することで合意した。関西電力に独自の追加対策を求め、実現させた成果は評価される。しかし、原発本体の安全確保に終始し、事故時の避難対策など、議論が尽くされていない面がある。
安全委は、国が4月に示した判断基準では十分とせず、全電源喪失時に炉心へ海水注入をする方法の確立を求めた。既に関電は態勢を整え、訓練にも取り組んでいる。さらに報告書案で、他国や国際機関の安全規制の状況を今後の対策に反映させることなどを政府や関電に求めた。これは「行政の追認機関でない」との使命感があったからだ。
一方、現地では、事故発生時に緊急車両が通行したり避難路になる「青戸の大橋」の耐震性や、県道の土砂崩れなどの問題点が浮上している。安全委は、こうした避難対策について、踏み込むことはなかった。10日の会議でも避難対策が足りないとの指摘が委員から上がったが、中川英之委員長は「議論は、科学的・技術的観点から原子炉の安全性を検証することに限定されている」と退けた。