民主党では経団連初代会長・石川一郎の孫にあたる下条みつ衆院議員と東電出身の加賀谷健参院議員、環境相時代に「温暖化を考えると原発は不可欠」と語り、党の原子力政策推進に一役買った小沢鋭仁衆院議員の3名。「賛成の理由」欄には、それぞれこう答えた。
「ただし、安全面の態勢整備、住民への説明が必須」(下条氏)
「電力不足は日本の経済活動、国力を低下させ、雇用や国民生活に重大な影響を与える」(加賀谷氏)
「すべての再稼働ではなく、必要不可欠なものを厳選すべき」(小沢氏)
また、自民党では菅直人総理(当時)の浜岡原発停止に正面から反対した石破茂前政調会長が唯一、回答。
「耐震のみならず、津波、水害などあらゆる想定に対処しうる態勢を整えた安全性の高い新型炉を限定的に稼働させるべき。国は電力の安定供給に責任があり、再生可能エネルギーへの大幅シフトまでの間は一定割合、原発を使用せざるを得ない」
そして、3・11後の昨年5月に作られた超党派の「地下式原子力発電所政策推進議連」会長である、たちあがれ日本の平沼赳夫代表。
「安全性を十分担保して、日本の経済の安定維持のため、稼働可能なものは動かすべき」
再稼働に賛成するこの5人にしても、「将来のエネルギー政策においても原発は必要か」という問いには、「必要」(平沼氏)から「できるだけ早く全廃」(小沢氏)まで、幅広い。
本誌は、原発がまた事故を起こすようなことになれば日本は完全に終わりであり、経済にしても、原発による電力には頼らない前提で考えるべきだと再三主張してきた。その点で、この5人の主張とは異なるが、政治家として自らの信条を堂々と語ったことは評価すべきだろう。卑怯なのは、再稼働を支持しながら、それを明言しない議員たちである。
「いま原発推進派と言われてきた議員の多くが『推進』から『容認』とトーンを下げています。民主党では菅さんが脱原発を宣言したときは、推進派が随分強い調子で反論した。それに対し、ある中堅議員が『あんなに強硬に推進を言ったら、有権者が離れちゃうよ』と言ったところ、それが説得力を持って党内に広がった経緯がある。最近では民主党の推進派の発言は『原発の新規建設は無理だが、安全が確認されたものは再稼働するべき』というトーンで統一されています」(全国紙政治部記者)
「票とカネ」を失いたくないから「脱原発」とは絶対に言えないが、「原発推進」を公言すれば、世間の反発を買う。それなら、黙っておくのが一番ということだろう。
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