ある中堅企業で派遣社員として働くキム・ソンギョンさん(27・仮名)は、月収が140万ウォン(約9万2500円)だ。営業部で事務を務め、雑用をこなすのがキムさんの仕事だ。首都圏にある四年制大学を卒業したキムさんは、何度も就職活動に失敗した後、今の職に就いた。一度は故郷の大田市に帰ることも考えたが、両親に合わせる顔もなく、ソウルにとどまった。
キムさんの生活は非常に苦しい。ワンルームの家賃として月50万ウォン(約3万3000円)を支払うと、90万ウォン(約5万9000円)が残るが、1日の平均生活費2万ウォン(約1300円)を差し引くと、残るのは毎月30万ウォン(約2万円)だけだ。キムさんは「服1着さえ買うのが難しく、文化生活はほぼ不可能だ。良い職場に転職しなければならないが、年を取ってほぼ諦めた」と話した。
■共稼ぎ必至
キムさんのケースは決して例外ではない。韓国の給与労働者の半分以上が月収200万ウォン(約13万2000円)未満であることが分かった。
本紙が統計庁の統計ポータルサイトに掲載された地域別雇用調査の賃金統計を分析した結果、昨年第4四半期(10-12月)現在で、給与労働者(自営業などを除き、うち他人に雇用され、給与を受け取る人)1731万人のうち、940万人(54.3%)が月収200万ウォン以下だった。
月収200万ウォンは、4人家族が基本的な生活を営むことのできる金額だ。統計庁の家計収支動向などによると、月200万ウォンを受け取り、税金、保険料、ローンの利払いなど計30万ウォンを差し引くと、170万ウォン(約11万2000円)が残る。これは基礎生活保障(生活保護に相当)の対象となる最低生計費149万5000ウォン(約10万円)に迫る水準で。子どもの塾の費用、貯蓄などの費用を賄うことは難しい。夫婦は共稼ぎをしなければ、生活していけない。
それは統計からも読み取れる。昨年時点で配偶者がいる1162万世帯のうち、43.6%が共稼ぎ世帯だ。しかし、女性が共稼ぎに出たとしても、10人中8人(76.7%)は月収200万ウォン未満の低賃金の職に就くしかない。LG経済研究院のイ・グンテ研究委員は「家長の稼ぎでは生活が難しいため、女性が就職しているが、良い職場がなく、所得格差を解決できずにいる」と指摘した。