アップルとしては、それに対抗するカードに乏しいのが現状だ。アップルは毎年6月、サンフランシスコで開く開発者向けの会議で新型iPhoneを発表してきた。今年も11日から会議が開かれるが、iPhone5が発表されるかどうかは不透明な状況だ。電子業界関係者は「アップルがiPhone5を発表しようがしまいが、旋風を巻き起こしているサムスンにどんな形であれ反撃する必要があるとみているようだ」と語った。先月行われたアップルとサムスンの最高経営責任者(CEO)会談でいったん休戦状態に入ったかに見えた両社の特許紛争は再燃しそうな雲行きだ。
両社は現在、米国市場で3方面で互いを攻撃し合っている。まず、アップルがギャラクシーS3などの販売差し止めを求めた仮処分申請だ。現地裁判所は7日からギャラクシーネクサスに対する仮処分申請の審査で、審査対象にギャラクシーS3を含めるか否かを決定する。決定によって、両社の紛争も新たな局面を迎える見通しだ。サムスン電子は「アップルの主張はわれわれの革新的製品に対する消費者の選択権を妨害するものだ。米国の消費者から高い期待があるギャラクシーS3は予定通り発売する」との立場を示した。
第二に、7月30日から始まる特許紛争の本訴訟だ。アップルのティム・クックCEOとサムスン電子の崔志成(チェ・ジソン)副会長は本訴訟開始に先立ち、仲裁命令に従い、先月に2日間にわたり会談したが、物別れに終わった。
第三に、米国際貿易委員会(ITC)に対する提訴だ。両社は海外で生産されている相手方の製品の米国内での販売差し止めを求め、提訴している状態だ。ITCがいずれかの主張を認めれば、裁判所による販売差し止めの仮処分決定と同じ効力を持つことになる。