万里の長城2万キロ説、韓国政府は消極対応

 「国家文物局は万里の長城の全長が2万1196.18キロだと公表した」(中国・中央テレビ5日報道)

 「中国政府が発表した『長城』は、韓国が考える万里の長城とは異なる概念であり、韓国政府が関わるべき問題ではない」(韓国大統領府〈青瓦台〉関係者)

 中国が今月5日に万里の長城が従来伝えられていた長さの2倍以上に達すると発表したことに対し、歴史歪曲(わいきょく)だとする論争が巻き起こる中、韓国政府は中国メディアの報道すらまともに確認せず、あまりに消極的な対応を見せている。外交通商部(省に相当)傘下の国策シンクタンク、東北アジア歴史財団は、中国側の発表を高句麗・渤海史と関連付けた韓国国内の報道は誇張されたものだと批判した。

 東北アジア歴史財団は8日「中国国家文物局の発表は、歴代の長城の総延長を言及したものだが、韓国メディアはこれを万里の長城の延長と解釈し、高句麗・渤海史の歪曲問題の一環として報じた。今回の発表を高句麗・渤海史を歪曲する狙いがあると見なす根拠はやや乏しい」と指摘した。

 しかし、中国メディアでさえ、中国国家文物局の童明康副局長が5日「歴代の長城は全長2万1196.18キロだ」と発言した際「長城イコール万里の長城」として報じている。本紙が中国国営の中央テレビ(CCTV)と中国共産党中央機関紙の人民日報による報道内容を確認した結果、いずれも童副局長が言及した「歴代の長城」を「万里の長城」ととらえて報じていた。CCTVは5日の報道で「国家文物局:万里の長城の実際の長さ2万1196.18キロ」という字幕を付けた。CCTVのニュースキャスターは「万里の長城はいったいどれだけ長いのか。きょうその正確な答えが出た。国家文物局は万里の長城の全長が2万1196.18キロだと公表した」と紹介した。人民日報(電子版)は5日「国家文物局発表」という大見出しの下に「万里の長城の全長が明らかに」という小見出しを付けて報じた。

 中国の発表によれば、満州にあった高句麗と渤海が築いた城もすべて中国を代表する文化遺産の万里の長城に含まれる。中国政府は吉林、黒竜江省にあるどの「長城」が万里の長城に含まれるかは明らかにしていないが、この地域には高句麗や渤海が築いた城が数多く残されており、今回の調査に含まれた可能性が非常に高い。

 中国紙・環球時報は8日、韓国メディアの報道を引用し「高句麗が残した遺跡も万里の長城に含まれている」と報じた。遼寧省社会科学院の呂超研究員は「中国は本来多民族国家で、中国国内の長城は、各民族がそれぞれ異なる時期に建設し、高句麗が残した遺跡もそれに含まれている。中国が今回調査した長城から高句麗を除外すべきだという韓国人の認識は荒唐無稽だ。韓国人は言い掛かりを付けているだけだ」と批判した。

 一方、こうした論争が巻き起こる中、韓国大統領府の関係者は「中国政府の発表を『東北工程(高句麗などを中国史に組み込んだ中国政府主導の歴史研究プロジェクト)』の一環と見なし、万里の長城を延長したと理解するのは性急だ」と述べ、あえて大きな意味づけを避けている。

北京= 崔有植(チェ・ユシク)特派員
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