'12/6/11
飲酒運転ゼロ運輸業懸命だが
運輸業界から飲酒運転がなくならない。昨年5月にトラックやバス、タクシーの運転手にアルコール検知が義務付けられるなど社会の目が厳しさを増す中、広島県内の業者も対策に力は入れている。しかし、根絶には至っていない。プロのドライバーのさらなる意識改革と、業者の取り組みの強化が求められる。
広島市安佐南区の第一タクシーの事務所の点呼室。毎日午前6時半ごろから、常備されたアルコール検知器の前に従業員が列をつくる。2000年ごろから自主的に出社時の検査を始めた同社では日常の光景だ。
検査で呼気1リットル中0・15ミリグラム以上のアルコールが検出されれば即、懲戒免職。タクシーやバスの乗務員はもちろん、自転車通勤の内勤者も対象となる。「車を扱う会社として飲酒運転には厳しく臨む」と中冨元社長。今春、タクシーとバスの車両に「STOP!!飲酒運転」のステッカーも貼った。
西区の双葉運輸も10年4月、乗務前後のアルコール検知を義務付けた。当初、朝の乗務前の検査では前夜に飲んだ酒が検出される運転手が相次いだ。飲酒量と体内のアルコール分解の関係を記した資料を運転手の家族に配って協力を求め、運転手の意識が高まったという。
一方、対策が必ずしも効果に結び付かない現実もある。中国運輸局によると、勤務中に飲酒運転をしたドライバーが所属する県内の営業所を監査した件数は06年度7件、07年度5件、08年度4件と減少。09、10年度は各2件だったが、11年度は5件と増加した。
【写真説明】アルコールの有無を確認するため、乗務前に呼気を調べる第一タクシーの乗務員